Vol.91 2014.10.1

猛暑のときを走り抜け シーズンは終盤へ !

 全国で、そして、道内で「これまでに経験したことのないような大雨」に見舞われ、自然の巨大な力に畏怖を感じたこの夏だったが、ウッディーズの活動日は好天に恵まれ、年初計画通り作業は終盤へ向かう。

8〜9月の活動概要

荒巻山林(札幌市南区)林道の草刈り・間伐 8月6日、8月9日

オニヤンマ飛び交う荒巻山林の池

 山主から「全て任せる」と、全幅の信頼を得て施業にあたる山林である。それだけに、数十年後の森の将来像を想い描き、どういう貌(かたち)の山林に仕立てるかを明確にして作業に臨むことが求められている。
 会創立以来慣れ親しんできた山林だけに、ウッディーズ会員には「故郷」を感じさせる空間。作業終了後も、立ち去りがたく…。

 

君所有地・ 下山山林(室蘭市)  8月30日・8月31日

湧き水にサワガニが棲み、ミズバショウが咲く

 君所有地は閑静な住宅街にある宅地である。大きなオオイタドリや灌木が繁っているが、その中ほどに水が湧き出し、小さな流れをつくっている。所有者はザリガニも棲むこの水辺付近を住民に親しまれるスポットにしたいと考えているが、ここに関わる時間的な余裕を見いだせないのが悩ましい。
 下山山林では、山林内を分けて流れる小川周辺の笹を刈る。一日目の夜は、例年のように楽しく美味しい宴がいつまでも続いた。

高川山林(小樽市桂岡町)  9月6日 ・9月13日 ・9月20日

出来たての階段をヨチヨチ下る3歳児

 9月から11月にかけては高川山林の遊歩道の整備に集中的に取り組むこととしている。道幅を広げるとともに、傾斜がきつい箇所には焼き丸太を鉄筋で固定し、階段を設置する。
 昨年から始まった施業であるが、山裾の笹を広く刈り込んだこともあって山林の景観が一新した。山を訪れる人たちが先ず異口同音に「あれ? 景色が変わってる!」と驚きの声を上げる。そして、整備した遊歩道を案内すると、「歩きやすくなった〜!」と、嬉しい反応を示してくれる。
 階段を取り付けた翌日、保育園児がやってきた。この日がデビューの3歳児が、階段の段差に「高〜い!」と一丁前に文句を言いながらも、上手に登り下りした。
 20日には、「新山川草木を育てる集い」のNさん・Sさんが見えられ、親しく意見交換を行った。

札幌南高学校林  9月10日

枝打ち初体験の高校生

 他団体・機関とともに札幌南高生の森林体験(枝打ち・除伐)の指導・援助にあたる。現代の高校生にとっては、その人生にあって希有な体験となるだろう。願わくは、彼らの心に森林への関心が微かなりとも芽生えんことを。

 

8〜9月のその他の活動を以下に
・8月 2日 柴原山林 (下刈り・遊歩道整備)
・8月24日 田嶋山林 (間伐)
・9月28日北山山林 (草刈り) 

 盛夏から初秋にかけての2か月、作業日は11日、参加者は延べ103名だった。
(詳細は、ブログ「活動の記録」参照)

森の本棚

清和研二著『多種共存の森 - 100年続く森と林業の恵み - 』(築地書館)

自然のメカニズムに沿った森づくりを

「効率的な木材生産の方 法」のもとに作られた日本の人工林のほとんどが目的を達成できていないのはなぜか?
 経済的な効率さえ上がれば問題は解決するのだろうか?
 そうした疑問から、著者は短期的な効率を上げることの落とし穴を指摘します。そして、自然のメカニズムに沿った効率化かどうかが問題だと主張しています。
 自然のメカニズムを教えてくれるものは天然林。天然林が多種共存であること、さまざまな生き物たちとの精妙な関係で成り立っていることが具体的な事例にもとづいて論じられます。例えば、親から離れたところで着床した種子だけが大きく成長できること、樹種が多いと害虫が大発生しにくいことなどです。
 針葉樹の人工林を天然林に近づけていくための方策として、強度間伐による混交林化について具体的な間伐率を提示しながら実例を交えた検討がなされます。
 また、多様な森林の恵みを活かす事例として、100種類以上のありとあらゆる樹種を利用して建具や家を作っている、長野県の有賀建具店が紹介されていますが、とても生き生きとした内容で楽しく読むことができました。

評者 大竹啓之(会員)

編集者追記

 過日、石田事務局長から「山林施業計画策定ワーキング(案)」が役員に示された。第13回総会で掲げられた「活動フィールドの整備計画を明確にした山林づくり」という方針の具体化をはかるものだが、その際に森のあるべき姿を考える上で、本書は多くの示唆を与える格好の参考書たりうると言えそうだ。「ワーキングチーム」のメンバーばかりか、会員諸氏にもお勧めしたい。

 

虫に懺悔して…

 「人間がしていることは、殆ど昆虫が先にやっている。狩猟採集、農業、牧畜、建築から社会生活、恋愛、嫉妬、異常な交尾まで…」とは、『昆虫はすごい』という本のキャッチコピーである。虫はホントにえらい!
 虫を「虫けら」としか意識せずに過ごしてきた自らを恥じている。ここへ来て、虫への慈しみは、大きく自然に対する慈しみに通じる…と感じるようになった。
 森林性の昆虫が、幼虫時代、枯れ木や腐った木を食べて森林の世代交代に貢献していると知り、「仲間意識」も生まれた。
 続発する「自然災害」を見るに付け、虫や草木からなる自然をないがしろにする人間が、自然の返り討ちに遭っているのだ…と思えてくる。

* * * * * * * * * * * * * *
虫も小鳥も魚も、名もない草も木も、
みんな、闘いながら生きている。
でも、みんな仲間、共存しながら生きている。
ダイナミックに生きている。
石 寒太 (詩人)
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 昆虫の魅力に目覚めたのは常連会員、K・Nob氏の教えによるところが大きい。以下、同氏にお願いして寄せていただいた稿をお楽しみいただきたい。(T)

 

その華麗な旅立ちまで
   - キアゲハ観察記 -〔その一〕 (K・Nob)


3齢幼虫


4齢幼虫


5齢幼虫(脱皮直後)

http://www.ne.jp/asahi/h okkaido/swanbay/ageha/
から転載(一部 修正・加工)

月初旬、菜園のニンジンにキアゲハの2齢幼虫を見つけました。チョンとつつくとオレンジ色の二本の臭角(しゅうかく)を出し、「さわるんじゃねェ!」と威嚇してきます。
 札幌ではアゲハの成虫・幼虫はサンショウやキハダに訪れますが、キアゲハは見かけることなく、珍しい。旭川で過ごした小学校時代の夏には家の周りのセリに黄緑・黒の横縞に紅の斑点のイモムシ(毛のない幼虫)が、庭のオニユリに成虫(蝶)がカラスアゲハと共に何頭も吸蜜していました。
 気持ちだけ…当時に戻って、成人(羽化)するまで見届けようとネットをかけて見守ることにしました。

アゲハは北半球の冷温〜亜寒帯に分布し、日本では全土に産する土着種です。
 発生は4月下旬〜10月ころ、道内では2回、春型・夏型があります。翅の色は春型が黄色地がやや薄く、夏型は真っ黄色です。幼虫時の平均気温で左右されることが証明されています。
 北方系の蝶なので、私の知る限り旭川以北ではこのキアゲハがほとんどで、アゲハが珍しい存在でした。暖かい札幌では分布が逆転しているのでしょう。
食草はセリ・ニンジン・ミツバ・パセリ・アシタバなどのセリ科、また山中より開けた場所を好むので、人家近くで見ます。

皮を5回繰り返し、1〜3齢は黒地に中央が白く、全体に小さな突起のある鳥糞に擬態した保護色、4齢になると薄い色合いの緑・黒に紅の斑点となり、4センチくらいでボールペンくらいの太さですが、5齢(終齢)になるとくっきりした色合いとなり、5センチくらいでチョークのような太さで誰もが知っているあのイモムシです。「俺には毒があるぞ!」という警戒色となってアピールしているようですが、鳥には通用しないようです。

敵は幼虫、蛹には鳥・肉食蜂・寄生蜂、成虫にはヤンマ(トンボ)・カマキリ・大型グモ(オニグモ)などです。蛹のときには食草を離れ、近くの木、人家の壁などの低いところに張り付いているのをよく見かけました。

化のコントロールには複数のホルモンが関係し、幼虫の頭部近くのアラタ体の幼若ホルモンの分泌がなくなると終齢幼虫となり、口から糸を出して台座をつくって尻を固定し、胴に帯糸(たいし)を巻きつけ前蛹となる。少しすると、胴体にある前胸線からの脱皮ホルモンによって脱皮が始まります。高校時代の生物で蚕(かいこ)の幼虫を使った実験イラストがあったことを思い出しました。また、耐寒温度はマイナス196℃で、哺乳類の生殖細胞と同じく液体窒素からでも復活できます。 (続く)

(編集注)「パートナー捜しに旅立つ」結末までは、次号に。

 

内樹皮による樹種の見分け方 (笠倉 伸暁)

 皆さんは普段、樹木(注1)の種類を見分けるとき、どうやって判別をしていますか? おそらく、葉や冬芽の形状、樹形、樹皮、色合い等、外見から得られる特徴を総合し判別をしていることでしょう。
 しかし、樹木というのは、サイズ(幼木と老木)や、季節(新緑〜落葉)、生育環境(奥山、海岸沿い等)それぞれの違いから、同じ樹種であっても多様な表情を見せるもので、そのために判別に迷うこともあるのではないでしょうか。
 今回は、木のサイズや生育場所に変化があっても、その影響を受けずに樹種を見分ける方法「内樹皮による見分け方」を紹介します。
 樹皮は、大きく分けて外樹皮(外から見える部分)と、内樹皮(形成層と外樹皮の間の部分)からなっています。外樹皮は粗皮とも呼ばれ、キハダなどコルク質が発達するものもあります。内樹皮は、一般的に師部と呼ばれ、大部分が生きた細胞で養分の通導組織として機能しています。
 内樹皮を観察するには、ナタ等鋭利な刃物で、外樹皮を内側の組織が見えるまで削ります。その際に注意しなくてはならないのが、なるべく薄く狭い範囲で、形成層まで達しない程度に削ることです(形成層を傷つけると、腐れや変色を引き起こす原因となる)。
 また、樹皮を削る行為は木にとってダメージとなるので、所有者の了解を得るなど、TPOで判断する必要があります。

キタコブシ

ミズキ

シウリザクラ

シナノキ

 

 観察する際のポイントとしては、
・組織の模様(様々な細胞の模様、繊維質、特に目立たないもの)
・水気、滲出液(瑞々しい、乾いた感じ、乳液が出る)
・風合い(荒々しい、柔らかい)
・香り、味(注2)(芳香がある、青臭い、ほぼ無臭、苦い、酸味)

など、人それぞれに受ける印象は違いますが、内樹皮から得られる情報でも相当なものがあり、樹種の特定に大いに役立ちます。また同じ属で似た印象をもつ木も多く、全く見当がつかない木であっても系統を推測することも可能です。

(注1) ここでは自然状態の生立木を指す。
(注2) ヤマウルシなど、直接触ると人体に害がある場合もあり、注意が必要。

(かさくら のぶあき・会員)

感謝

ウッディーズは昨年に引き続き、「森づくりフォーラム」を介してプルデンシャル生命保険(株)から活動資金の助成を受けた。こうした支援を得て可能となる我々の活動である。深甚の感謝を…。

林間独語

▼高川山林で遊歩道の整備が進められている。斜面を切り取った土を石や木で土留めを施した谷側に盛って固めていく。機械を用いずクワとツルハシによる作業だから進捗ははかばかしくない。しかし、一日の作業の終わりには、ここまで来たか!という驚きと満足感を覚え、改めて、仲間の力を思い知る。

▼ところで、山の達人は養分に富む地表の土を大切にし、それを崩さないように優しく斜面をとらえて歩くという。クワで削る、階段をつけるなどは御法度である。省みて心が咎める話だが、日本を見渡せば、そんな「達人流儀」をあざ笑うかのような自然破壊が強行されている

▼沖縄・辺野古の米軍新基地建設。東京ドーム17個分の土砂で海を埋め立てるという。土砂の多くは中・四国、九州の山を削り取って調達する。

▼一方で、リニア建設が強行されようとしている。計画が実行されると9割近くがトンネルとなり地下水脈を寸断し河川の水量を減少させる。東京ドーム50個分の土を掻き出すが、どこへもっていくのやら。環境省や国交省でさえ「生態系に不可逆的な影響を与える…」と危惧する暴挙である

▼こうした途轍もない自然破壊の進行を目の当たりにするにつけ、汗水垂らしてクワやツルハシを振るうあまりにも素朴なウッディーズの営みが、とてつもなく尊いものに思われてくる。「言い過ぎだろう」と笑われるのを承知で言えば、仲間の姿が何やら苛政に立ち向かう一揆の百姓たちに重なる。やっぱり、言いすぎだな。(T.M)

 

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