Vol.60 2009.12.1

2009年の作業 大詰め

 氷雨や初雪が降ったり、まどろむような小春日和だったり ― 移ろう季節のな かで、今年の活動も終盤をむかえた。
 寒さが増した11月にホットな活動、みんな生き生きしている。

8日 田嶋山林  参加21人

チェーンソーがうなり、薪が山をなしていく

 木々は葉を落とし暮秋の景。懐かしい顔の参加もあり、先ずは「お久しぶり で~す」が行き交う。
 二班に分かれ、一方は前回に引き続きカラマツ林の間伐、他方は定山渓寄り の場所へ移動して薪つくり。 移動する途中の林道がぬかるんで運転不能。車 を断念し、道具などを抱えて たどり着く。
 ここで、伐採木を40㎝に玉切りして薪にする。
 最初、ほんの小さな山に見えた伐採木の堆積も意外に大きく手強い。午後か らは間伐班も合流して、どうにか全量の玉切り&山積みを完了する。

参加者の声

◆くたくたになるほど疲れた労働がもたらしてくれたもの ① 達成感。② 整 然と積まれた薪山を思い浮べながら飲むビールのおいしさ。③深い眠り。そし て、④ 翌日の腕・腰の筋肉痛…。        (Nさん)
◆ハードでしたぁ~。300本ぐらいあったかなぁ…薪用の玉切り材が。
もう、翌日のつらかったことっ!でも、それでも楽しいんだなぁ…。
わからないですね、人生、本当に楽しい、面白いことというのは。(Sさん)
◆やっと参加できました。
靴が30㎝くらいも埋まる粘土地を越えて…、薪をつくる。
懐かしい生活の原点 を思い出しました。 (Sさん)

ニセアカシアの間伐。良い薪になるゾ。

‘雪上の焚き火’などという愉しみ

29日 柴原山林  参加22人
 一片の雲もない青空に、樹上の雪が煌めく。
正に天の賜 (たまもの)、極上の仕事日和。
 薄く雪が積もる林内のあちこちで、除間伐と薪材の玉切り、倒木処 理、フットパスづくりを行う。
 条例などの規制で出番を失い、物置に眠っていた家庭用簡易焼却炉が持ち込まれ、 焚き火に活用される。
 暖か~!。

 作業を終わって見上げれば、雪の花を咲かせていた木々は裸木に戻っていた。
 この日、「荒廃した山林の画像を見て心を痛め、自分にも何かできることが ないだろうかと思って…」と言う女性と、「薪ストーブが好きで,木に親しみ を感じる」と言う写真家親子が体験参加した。
 異口同音に「楽しかった!」と感想を述べて3人とも入会することに。
 ウッディーズに初の親子会員が誕生した。

14日 吉村山林  (中止)
残念ながら中止の決断、来年は‘いの一番’

 気象データによると、ウッディーズが活動する3月~11月の9か月、札幌の降 水日数は183日。3日に2日は雨・雪・霰が降っている。
 その割りに作業中止は3回だけ。予定回数の一割にも満たない。
 しかし、中止か決行か直前まで悩む ケースは多い。事務局長は数日前から天 気予報をチェックし、併せて決行を前提に機材の整備・積み込み等も抜かりな くやる。大変なのだ。
 この日の吉村山林も、そんな悩ましい経過を辿ったのだろう。朝6時半、中止 の連絡が入る。会員も決して若くはない(文句なしに若くない)、 雨に濡れて風邪でもひかれては、と怖れたかも知れない。
 吉村さんは豚汁を振る舞う用意をしていたらしい。
 ある会員が「致し方ないとはいえ、中止になって、申し訳ない気持ち」と言う。

吉村さんの言葉

 あの雨では無理でしたね。豚汁は来年是非ご馳走させてください。
 皆様のご意見を伺って「気持ちの良い森」をつくる…、なんか楽しい気分です。

ウッディーズ会員 苫小牧へ‘出前’講師
 チェーンソー技術の基礎を懇切に

チェーンソーを引き寄せ、脇を締めて…

 4月に苫東雑木林をご案内いただいた草苅健さん企画のチェーンソー講習会があった。
 受講者はチェーンソー技術の習得を希望するる精神科医師他2名。
 講師のウッディーズ会員・安部さんが自作の美麗・懇切なテキストに基づいてチェーンソーの構造と保守、危険回避の作法などを諄々と説く。
 その中の心に残る一言。曰く、「切腹の介錯のように痛みを感じさせないようにスパッと伐る」
 そこまで技術を磨きたいものだ。
 次いで、フィールドへ出て、基礎技術の実習を行う。
 「教え・学ぶ」双方の真摯な気持ちが通じ合った気持ちの良い講習会だった。
 脇で見ていながら、ウッディーズとしても研修制度を更に徹底していかなくては…、という思いを新たにした。
 それにしても、フィールドとなった苫小牧・U病院周辺の雑木林-冬枯れのコナラと林床を覆う慎ましやかなミヤコザサ-の気持ちよさと言ったら… (11月15日)

「ウッディーズの運動に参加、嬉しい」
 ― 作家・荒巻義雄氏(荒巻山林所有者) ―

(次号に掲載予定の原稿について)
 現時点での予定では、アイスランドやスエーデンの北極圏の森林のながめな ど、紀行文形式で。よければ定期的に寄稿することも厭いません。肉体労働は 苦手ですが書くことは平気です。
 こういうかたちで、ウッディーズの運動に参 加できるのであれば、非常に嬉しい。

命を引き継ぐ 木や虫たちの智恵

15. ソメイヨシノとエゾヤマザクラ

ソメイヨシノ
エゾヤマザクラ

 ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種です。明治初期に東京の染 井村(現豊島区)の植木屋が売りだしたとされています。花が美しいことか ら、全国的に沢山植えられています。
 ソメイヨシノは実をほとんどつけません。それを植えても発芽しないそうで す。エドヒガンとオオシマザクラを掛け合わせても、ソメイヨシノが誕生する とは限りません。
 では、同じ形質をもったソメイヨシノの苗はどのようにして増やしているのでしょ う。全部、接ぎ木苗を育てて植えます。クローンを作っているのです。ソメイ ヨシノは命をつなぐ方法を人に委ねていると言えるでしょう。
 いっぽう、エゾヤマザクラは、沢山の実をつけます。40%~50%の花が結実す るそうです。種子の運び屋は小鳥たち。エゾヤマザクラは命をつなぐ確かな方 法を持っています。
 写真(下)は、羊ケ岡の森林総合研究所のエゾヤマザクラの並木です。
 研究施設が今のキタエールのある場所から引っ越す時に、そこにあった紅色の濃いエゾ ヤマザクラから種子をとり、育てたものです。濃紅色の桜並木づくりを狙った のですが、クローンでなく実生なので、白から濃紅色まで大きな変異が見られ ます。
 春、北海道の桜は、エゾヤマザクラが咲き、数日遅れでソメイヨシノが咲き始 め、春爛漫の季節を迎えます。

(文・写真 春日頼雄)

 

白旗なあなあ日常

Vol.4

の話の続きでしたっけ? そうそう間伐作業の始まり始まりーッ。作業の手筈 は決められていないので、人其れ其れ。加えて、同一現場に同じ作業で入るこ とは二度とないので、数十年後の状況を想像しつつ、次の作業(間伐だと、木 寄せ、ブル集材)に支障のないよう作業するのが森之助流

の現場は風害で 地面に横倒しになったネギ(寝木?)がメッチャ多いので先ずはその処理か ら。採材できる部分は枝払いと玉切りし、残りは木寄せやブル集材で支障にな らない程度の枝払いと切断をして土に還って貰う。地面に埋もれ気味の場合も あるので、土を切らないよう気を付けているが、何度か地球を切るうちにソー チェーンの切れ味が鈍くなり、焦る気持ちは抑えて目立てする

に、採材で きない雑木、支障木、枯損木を伐木して土に還す作業をし、漸く採材できる立 木を心置きなく伐倒できるようになったが、何処にでも倒せる訳ではない。一本 一本、木に相談しながら、材が重ならない方向に伐る。空隙がない場合は、根 元を大鳶で移動し易い方向に伐倒して掛かり木処理するか、無印の立木を余分 に伐倒して空けるかのどちらかを選択する。この方向しかないと決めて箭を打 ち、倒れ始めたのに途中で止ってしまうことがある。よーく見ると糸のように 細い蔓が隣木からピーンと張っている。大鳶で木を引き下げるだけで簡単に切 れることもあれば、ここでは言えない様々な方法を使い、七転伐倒(八倒)す ることも。時にはヒヤリ・ハットもありつつ、伐倒後に根元と切り離す。残っ た伐根が高い場合は、ブル集材時にキャタピラを外したり、ひっくり返る原因 にならぬよう低く切り直すのも樵の作法の一つ

の後は、少しでも丸太の商 品価値を上げるように、一本でも多くなるように色々と工夫しながら採材す る。枝・蔓・胴吹きは丸太を回して総て切り離すが、その枝等で丸太が隠れな いよう、他の立木の伐倒時に邪魔にならない程度に片付けながら、黙々と作業 を繰り返す内に一日が終わる。ふと振り返り、色付いた葉が逆光に浮かび上が っていたり、林床や樹幹に陽が当たり、まるで樹々が両手を広げて背伸びをし ているように見えると、心地良い疲労感と充実感が徐々に湧いてきて、穏やか な幸せ気分に

の後、間伐作業には八日半掛かってしまい、日給を下回るこ とに…ガッカリ。で、ここで質問。チェーンソーの燃料タンクを満タンにする と一時間程度、三本の中径木を順調に伐倒して枝を払い、立木一本当たり四、 五本の丸太に玉切りすることができますが、一時間当たり幾らの稼ぎになるで しょうか? (正解は…)

木霊(こだま)

読者の便り

◆「木を友に」、いつも知識を深める場になっています。
子供の頃のお話がほのぼのとして心地良いですね。雪景色の倶知安町、木登り している子供、凧揚げをしている子供達、遠景の羊蹄山、ニセコ連峰。写真の ように光景が浮かんできます。(Aさん)
◆(チェーンソー講習会について)
いい勉強になったのは言うまでもないのですが、講師の謙虚な語り口は、 森作りとは何かの一部をよく表現されていました。 語り部の資質が高いのではないでしょうか。
「白旗なあなあ日常」は、最もウッディーズらしいものと思います。ほかでは なかなか書けないものですよね。(Kさん)

林間独語

▼精神科医とかけてチェーンソーと解く。その心は、相手の痛みを感じ取りつ つ、き(気・木)と向き合う?
▼U病院で行われたチェーンソー講習会は、 心疾患治療に森林療法を施している同病院T医師がチェーンソー技術を 習得したい、と思い立ったことが切っ掛け。病院の周辺には森林療法が行われ る森があり、そこはウッディーズが誼(よしみ)を結ぶKさんが整備をしてい るのだが、T医師自身も森づくりに関わりたい、と。
▼患者のためにチェーンソーを操作 する麗しき女性医師、チョッと絵になるような…、イヤ、見惚れている場合で はない。T医師は、患者たちが森の散策を楽しみ、小鳥のさえずりや土と木の感触に心 を和ませる姿を見るにつけ、森林療法の治療効果が極めて大きいことを実感しているようだ。 「森っていうのは、深い、深いレベルで人を癒してくれる」と言う。 確かに、チェーンソーの実技講 習も行われたその森に身をおいてみると、たちどころに心が静まっていくのを感じる。
▼利潤と効 率優先に仕組まれた閉塞社会で、人々は疲れ果て、身と心の置き所を失い、それとは無関係ではないだろうまがま がしい事件が続発している。離れすぎてしまった森へ回帰し、き(気・木)と向き合 うことで何かが開けるかも知れない。なのに、「事業仕分け」で森林整備予算の削減・廃止だという。いただけ ない。

 

<< 前の号へ    次の号へ>>