Vol.89 2014.6.1

2014シーズン 佳境に
   「緑の作業」 やっぱりいいなぁ〜

役員陣を強化するとともに、多くの新しいメンバーを迎えて始まったウッディーズの2014年、スタートから2か月を経過したが、新たな飛躍を感じさせる活動が展開されている。

シーズン最初の作業

笹と灌木の茂みが…

歩いてみたい?と思わせる小径に

4月12日 植苗病院雑木林(苫小牧市植苗 18名)

 苫東コモンズとの共同作業である。春の日が燦々と注ぐここ苫東の地は、残雪たっぷりの札幌辺りとは全くの別世界だ。温かい風が頬を撫で笹を揺らして吹き抜ける。白い雲がゆったりふんわり流れている。着陸体勢に入った飛行機が雲をかすめて静かに下降して行く。
 枯れ葉をまとった柏の茶色と笹の緑がコントラストをなす疎林に、森林セラピー療法で使用する遊歩道や広場をつくり、併せて間伐を施し景観を整備する。
 この小径を歩き、木陰で語らう人たちの姿を想うと、自然と腕に力が入る。
 慣れ親しんだ林での、志を同じくする苫東コモンズの皆さんとの共同作業とあって、久しぶりに故郷の山に帰り、兄弟と共に汗を流す…、そんな気がした一日だった。

薪割りの音 パカーン! 山に響く

薪割りの快音に 心スッキリ

4月19日 高川山林 (小樽市桂岡町 21名)

 残雪の斜面を利用して、玉切り材をシートに来るんで、引きずり〔滑り〕下ろす。それを薪用に一定の長さに切って、割って、薪小屋に運んで、積む。慣れた作業だから手は淀みなく動き、無駄がない。チェーンソーのエンジン音、気合いを入れるかけ声と薪が割れる音、そして、弾む会話…。山の斜面に活気が満ちる。
雪融けが進み地表部が現れた所では、いち早く福寿草が花を開いている。

 

4月27日 高川山林 (小樽市桂岡町 23名)

 2週続きの薪割りに加え、昨秋、エゾヤマザクラの幼木に野鼠対策として巻き付けたアスファルトフェルトを剥がす作業が加わる。こちらの方は、大小百数十本のサクラは完璧に無害! 巻き付け技術の進化?もあり2年続きの快挙である。この対策方法、ネットなどでも目にすることがないので一般的には試みられていないのかも知れない。積極的に普及をはかりたい…。
 薪づくりの方は原料の丸太がドンドン下ろされてくる。青年は力強く、年配者は経験を活かし、スッカリ雪が消えてしまった斜面を担いだり、ロープを巻き付けて引きずり下ろしたり、と。
 薪割りは、ある年代層には郷愁を覚えさせ、若い人には新奇な興味を抱かせるのかも知れない。誰も疲れを見せず、休みなく快音を響かせる。割られた薪は乾燥小屋に手際よく積まれていく。
 一日の作業が終わるころには、山積みされていた丸太や柴が整理され、スッキリした林床にキクザキイチゲやエゾエンゴサクが目を引く。薪をつくることが結果的に好ましい景観を生み出していて、「山は適切な利用により整備される」という言葉を改めて実感する。

 

山菜の天麩羅に舌鼓

熱々の山菜天麩羅が揚がる

5月17日 北山山林 (千歳市平和町 12名)

 いつもシャカリキになって活動するウッディーズでは、年に一度のお楽しみメニュー・山菜採り。「スッカリ取りつくされちゃって〜」と、ぼやきながら採ったタラの芽をその場で天麩羅に…。楽しい一日だった。

採り過ぎないようホドホドに

 

 

その他の活動

4月30日 第3回役員会

5月10日 植苗の森 下刈り19名

5月25日 植苗の森 植樹7名

地域FMで ウッディーズを語る

放送を終えてホッとしたところをスナップ

 5月7日、札幌市宮ノ森にあるコミュニティFM「ラジオカロスサッポロ」の番組「きたネット・ラジオカフェ」にウッディーズのメンバー3人が出演、司会者の巧みな進行に導かれて活動内容や会員の思いを紹介した。若い?二人のシッカリした受け答えが、ウッディーズの活動ぶりを象徴しているように感じた。→活動の記録

以下、当日の司会・鈴木玲さん(手稲さと川探検隊 写真左)のフェイスブックから。
5月7日 きたネットラジオ
 今日のゲストは札幌ウッディーズの皆さん高川勝さん、菊池憲浩さん、富士本充佐さん、それと北ネット相蘇かおりさん、旭山森と人の会の皆川昌人さんと、楽しいトーク。
 年齢層広いウッディーズの皆さん、やり甲斐を持って活動しているのが、とても伝わってきました。是非サイトをご覧ください。ブログと森林人通信は特にオススメ!

 

切り開かれる樹海 汚染される大河   北波智史

— アムール川流域紀行 —

 見慣れたはずの北極星がいつもより高い。目に映るのは、夜空いっぱいに輝く天の川。視線を落とすと、針葉樹の森は酷寒の静けさを保ち、夜空とは対照的な闇が広がっていた。昨年11月、私はロシアのサハリン、ハバロフスク地方を取材で訪れた。
 京都出身の私は北海道の大学に入学して以来、登山に親しみながら、北国の広大な自然の広さと力強さに感動していた。
 ところが、初めて目の当たりにしたロシアの自然は、北海道をはるかに上回るスケールで、圧倒された。
 ハバロフスク地方の取材で、アムール川に沿って1600キロの道のりを車で往復した。道路のすぐ隣は川や湿地、森林が続く。湿地には膝ぐらいの高さがある巨大なヤチボウズが地平線まで延々と続き、山道に入ると、針葉樹の森の果てが見えないほどだった。(写真①)
 特に自然の圧倒的なスケールを実感したのは、アムール川を上空から撮影した時だ。着陸が近づく旅客機の窓からのぞくと、曲がりくねった支流が湿原の中を縦横に流れていた。中央の本流(写真②手前)は幅2・5キロ。写っている大部分は川と湿原で、右上の黒い部分が右岸。左岸は流域が広すぎて飛行機の窓枠からは見えていない。
 河口の川幅を比べると石狩川は約600メートルなのに対し、アムール川は約12キロ。20倍だ。北海道の自然がかわいく思えてしまうほどの規模で「人間は自然の中を生きる小さな動物の一種にすぎない」。そういう思いを強くした。
 とはいえ、石油・ガスなどの資源開発に伴い、広大な針葉樹林は伐採されて切り開かれ、パイプラインの敷設が進む。工場から流れる排水は河川の汚染を招いている。圧倒的な自然をも、人間は破壊できる現実がある。
 私を含む取材班一行はロシア沿海地方で、かつて交易に使われた船揚場の遺構とみられる場所を確認した。
 江戸時代の探検家・間宮林蔵が乗る船も200年近く前に立ち寄ったとされているが、いつまで使われていたかは分からない。ただ、周囲に太い幹の木は見られず、人が手を加えたと思える地形の面影を残したままだった。
 寒冷地の自然は植物の成長が遅く、植生が回復しにくい。一度、開発を許してしまえば、簡単には元通りにならないだろう。
 人は安易な開発を控え、できる限り自然と共存して暮らさなければならないのだと、極東の地であらためて感じた。
(きたば・さとし 会員)

写真 北海道新聞社提供
① 湿原を覆う巨大なヤチボウズ
② 旅客機から見た結氷前の夜明けのアムール川
③ アムール川支流に面したブラワ村の夕暮れ

 

自然に潜む危険と向き合う

(第4回)ハチ その危険性と対策法

 これまで本編においてクマやマダニについて取り上げてきましたが、残念ながら先日、北海道ではヒグマによる傷害事故、九州ではマダニにかまれたことによる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の死亡事故が発生しました。
 登山や山菜とりシーズン真最中ですが、山や森に入られる方は改めて気をつけて下さい。今回は『ハチ』について取り上げます。
 ハチによる死亡事故は、毎年日本全国で山林のみならず住宅地等でも発生しています。私も調査で山に入った時に、近くにハチの巣が有ったかは不明ですが、何度か襲撃を受けた時があります。病院から離れた山林で刺された場合、手当が遅れると大変危険です。
 一般的に『ハチ毒』が原因で危険だと考えられていますが、実際は毒自体による影響ではなく、自分の体が備えもつ免疫が暴走することで激しい症状が現れます。これは過剰なアレルギー反応の一種で『アナフィラキシーショック』といい、ソバアレルギーなどの過激な食物アレルギーなどと同じメカニズムです。
 症状は、じんましん、腹痛、視野や聴覚の異常、嚥下障害、呼吸困難、意識混濁などです。アナフィラキシーショックで死亡する場合は、ハチに刺されてから短時間であることが多く、一刻も早く治療しなければなりません。ハチ刺されにはアンモニア(尿)が有効との話を聞いたことがあるかもしれませんが、残念ながら科学的には事実でありません。
 ハチ対策ですが、マダニと同様、一般的な防虫剤は有効ではありません。ハチに刺されないような服装や行動、香水などの刺激臭の使用を避けることが重要とされますが、いくら気をつけていても襲撃される場合もあり、完全に防御するのは困難です。
 そこで対策薬の携行が勧められます。アドレナリンの自己注射薬である『エピペン』は、アナフィラキシーショックの進行を一時的に緩和する補助治療薬です。特定の物質に激しいアレルギー反応を示す方に病院で処方されるショック症状を抑える薬ですが、ハチ刺されにも有効で医療機関へ搬送されるまでの症状悪化を防止します。ハチ対策として林業従事者の方にもエピペンの携行が推奨されています。

エピペン(販売元のファイザーHPより)

 2011年9月に保険適用となり、健康保険による一部負担で処方を受けることができるようになりました。エピペンは、緊急時に使用(自分または同行者等が注射)するものなので、日頃から正しい使用法を、しっかり理解しておく心構えが必要です。
 尚、エピペンは、あくまでもショック緩和の補助的に使用する薬で、決して医療機関での治療に代わり得るものではありません。症状が回復しても必ず病院で受診するようにして下さい。

(文・こんない さとる・北海道大学獣医学研究科准教授)

(「自然に潜む危険と向き合う」のバックナンバーは、「森林人コラム」で読めます)

 

林間独語

▼ 国連は5月22日を「国際生物多様性の日」と定め、この日の午前10時に「植樹を行おう」と呼びかけており、これに呼応して各国・地域で「グリーンウエイブ」と言われるイベントが行われている。(日本では3月1日〜6月15日)。

▼ 人間は自然の動植物に支えられて生きているが、それが危機に瀕している。世界全体の森林の純消失面積は年間520万ヘクタール、つまり、日本の国土の約14%〔九州+四国の面積)にあたる森林が地上から消えている。珊瑚礁も2割が消滅…

▼ 地球上の大小3000万種の生き物も危ない。絶滅危惧種のレッドリストは増える一方で日本では約3600種にのぼる

▼放射能汚染地域の動植物に多くの異常が発生しているという情報もある。そして、人間の命と健康は? というところへ思いは及ぶ。そこに住み続ける人にも、立ち去った人にも明日の生活が見えてこない

▼ 人々の、今そこにある苦難を尻目に、「日本人避難民が乗る米艦船を保護するために集団的自衛権の行使を!」と絵空事を夢見る御仁がこの国の舵取りをしているという不幸。生きとし生けるものが「グリーンウエイブ」に浮かび心地よく揺られる時は来るのだろうか。声を上げなければ… (T.M)

 

編集後記

 パソコンのハードディスクが壊れ、過去15年ほどのデータを殆ど失った。「うかつだった!」の一言に尽きる。各種の暗証番号、1000人分の住所録、時々の思いを記したメモ、親しい人と交わした書簡の控え、そして、「森林人通信」のバックナンバー全て。今号の「森林人通信」(紙版)はフォームから作り直した。
 突然、記憶喪失症に見舞われた…、と沈んでいると、「新しい記憶を紡いでいきましょうよ」とか、「派手な断捨離を敢行したんだ、と思えばいいでしょう」などと励ましをもらった。必要なものは可能な限り甦らせ、ボチボチ作り出していこう。そう観念している。
 今内先生には、国の内外を行き来するお忙しさの中、たびたび寄稿いただきありがとうございます。

<< 前の号へ   次の号へ>>