Vol.104 2016.10.1

新しいアイデアで林業に活力を!

『林業×ITハッカソン』開催

 9月3日と4日の2日間、札幌市内で「林業×ITハッカソン」というイベントがおこなわれ、ウッディーズのメンバー2名が参加(個人参加)しました。
 ハッカソンとはIT業界の用語で、多数の参加者が一同に会して、決められたテーマでアイデアを出し合い、その場でシステムやサービスといった形を作り上げるイベントです。
 札幌での開催は昨年に引き続き2回目。今回のテーマは「低コスト・効率化林業を実現するにはどうしたらよいか?」です。
 約30人の参加者のうち林業関係者は5名程度。残りはプログラマなどのIT関係者が多かったようです。
 最優秀賞に選ばれたのはウッディーズ会員の笠倉さんのチーム。作業区域をはずれると大音量で知らせて、調査のやり直しや誤伐を防いでくれるというアイデア。シンプルかつ実用的。
 同じく会員の藤池さんチームは優秀賞。藤池さんのレポートをお読みください。木材だけではない森の恵みに眼を向けるアイデアがすばらしい。

 

ハッカソン体験記  藤池 由佳

伐採現場

 ハッカソンってなに?とドキドキしながら、林業×ITハッカソンというイベントに参加!
 1日目には国有林の林業の現場に入る貴重な機会がありました。林業の世界も今や機械化が進んでいて、写真は大型の機械で伐採さ
れ、枝葉を払い、同じ長さにカットされているところです。

 乗り入れた観光バスが林道の側溝に脱輪した時には冷や汗ものでしたが、帰りは2キロの山道をみなでてくてくと歩きよい思い出に
なりました。
 場所を移し、ICC(産業振興センター)に戻ってからはまず林業を低コスト化・効率化させるためのアイデアをそれぞれが出す時
間。次に4、5名でグループを組んで、アプリやサービスを作り上げるという作業に取り組みました。

 私には白樺細工を志すなかで、日ごろこんな情報やサービスがあればいいなとあたためていた想いがあったのですが…思いがけず、それをITのプロのみなさんが短い時間のなかでカタチにして下さることに。北海道の森にある素敵なものと、それをほしい人をつなぐサービス『 Forefit 』。いつか実現する日がくるのを夢見て。
 林業×ITハッカソン、それはそれは非日常的で刺激的な2日間でした!

正しい枝打ちのために  笠倉 信暁

◆はじめに

 8月に荒巻山林で枝打ちを行った際、始業前に枝打ちの方法について簡単にレクチャーを行いました。その際、会報上でも紹介してほしいという意見がありましたので、主に樹木の生理や構造上の観点からお話をしたいと思います。

◆樹体における枝の役割

 枝は、葉から幹、根への光合成同化産物の輸送や、幹、根から葉へ水やミネラル分などの通導をし、また風などから樹体を安定させるなど、生理的、物理的にそれぞれ重要な役割があります。なお、枝は光合成の働きの低下により収支がとれなくなると、幹とのつながりを断って枯れます。また、強風などにより引き裂かれるなどして脱落することがあります。

◆枝打ちの意味

 枝打ちの目的の一つとして、木材としての価値を高めることがあげられます。
枯れ枝がついたままだと、死に節となり材としての品質低下を招くことから、枯れる前に打つことが望ましい。また、枝打ちにより林内に光が差し、下層植生の回復が見込まれます。しかし、枝打ちも正しい方法で行わなければ、価値を高めるための行為であるはずのものが、かえって機能や品質を低下させることになるので注意が必要です。

◆枝打ちの位置と時期

 これは枝を切断する位置のことを指しますが、枝座(しざ)を打たないことが重要なポイントです。(図a)また、打つべき枝は、枯れ枝はすべて、生き枝は樹高の半分まで落とすことを目安とします。打つ時期については、木の成長期(4月〜8月)は避けたほうがよいとされています。  

◆樹木の防御反応について

 樹木は、樹体に傷がついたときに外部から侵入する病原菌などに対し、自らを守る防御反応を示します。枝の組織についていえば、幹と枝の組織の境界付近(図b)に防御層があり、枝から侵入する菌類はその防御層に遮られ、幹の組織には侵入できないとされています。枝を適切な位置で打つ必要があるのはこのことと関係があります。前述した枝座(しざ)は幹の組織にあたるため、枝を切るつもりで枝座(しざ)まで打ってしまうと、幹への菌類の侵入を容易にし、材の変色や腐朽の発生を招くことになりかねません。
 なお、枝打ち後の切断面については、適切な位置であれば、幹の肥大生長に伴い、じきに幹の組織に覆われて塞がり、残った枝の組織は幹の組織の中に取り込まれていきます。

◆おわりに

 短い説明でしたが、詳しいことについては、現場でまたお話したいと思います。今後、枝打ちの際には、樹木の構造や生理を理解したうえで、正しい位置で行うことに努めましょう。 
(森林インストラクター・樹木医)

7末〜9月活動あらすじ

●7/30 荒巻山林(札幌市)6名
アカエゾマツ枝打ち、林齢27、樹高12m、直径16センチ、枝下4m。以上概数。未開地視察も。

●8/6 荒巻山林(札幌市)8名
枝打ち&掛かり木処理。笠倉氏、枝打ちレクチャー。昼焼肉。

●9/10 北山山林(千歳市)7名
アカエゾマツ枝打ち。林齢35、枝下2m。

●9/17 高川山林(小樽市)11名
台風被害木(ニセアカシア)処理。昼カレーパーティー。

●9/25 北山山林(千歳市)9名
アカエゾ枝打ち。

●8月27、28日の下山山林は天候不順のため中止。

台風被害は高川山林でニセアカシアの大木が倒れ、風の脅威を見せつけたほかは目立った被害報告なし。これから終盤、好天に恵まれることを願う。

アイヌの昔話を読む  森井 浩樹(会員)

 私は子どものころから夢想家っていうんですか、想像することが好きで、山とか草原とかボーッと見てて楽しめる子供だったんです。
 自分の家から見える山の稜線上に、ちょうど人が立っているカタチに見える木があったんです。それも右手に鉄砲を持ったように見える・・「鉄砲を持ったおじさんが今日も見てるなー」とか。
 小学校3年生くらいのときに、一面の雪に覆われた田んぼが白い巨大なキャンバスに見えたのでしょうか、ちょうど巳年だったんで、そこを這いずり回って、その軌跡で「巳」という大文字を書いたこともあります。現実と夢の区別のつかない子供だったのかもしれません。
 そんな私も今は大人になり、さすがに鉄砲を持ったおじさんもいなくなり、雪の中を這いずり回って大文字を書いてはいません。しかし、アイヌの昔話を読むと、すぐに「その時の」気持ち、なんと言いますか、アタマの自由発想ボタンのスイッチが入る気がするんです。
 古事記とか日本書紀とかは遠い外国のお話しのように思えて、私にはピンときません。そこのところ、アイヌの昔話は北海道や樺太が舞台で、身近なところでの寓話や、動物たちが多く登場する物語、笑い話など色彩豊かです。また、英雄と邪神(悪)とが対決する神話は、勇壮かつスペクタクルな戦闘シーンもあり、スターウォーズよりも臨場感があります。
 発想・視点・感覚、どれをとっても、現代人はすでに退化してしまったために思いつくことができない映像がアイヌの昔話では繰り広げられます。ハートに火をともされるから。それがアイヌの昔話が好きな理由かもしれません。
  ★  ★  ★
 最後にチキサニとアトニの話しを紹介します。
 チキサニとアトニはアイヌ語でそれぞれハルニレとオヒョウニレのことです。
 途中省略。〜父親は雷神です。母親は木です。〜 悩みなんかぶっ飛びますよね。詳しくは囲み記事をお読みください。

チキサニとアトニ アイヌラックルの伝説より

 あるとき天の神々が大勢集まって、天国の門のそばに立ち、はるか下界の人間の国を眺めていた。するとその国の、二つ並んで建っている家の中に、とても美しい少女たちが見えた。少女たちは、神々が見下ろしているのも知らないふうだ。
 神々は口々に、「なんときれいな少女たちだ」とほめそやした。とりわけカンナカムイ(雷神)はいちばん前へ身を乗り出して、うっとりと少女たちに見とれていた。
 それを見た神々は、カンナカムイをからかってやろうと、後ろへまわってつついた。カンナカムイは不意をつかれ、あっという間に天からおっこちて、アイヌの村の、その少女たちの上へ墜落してしまった。
 落ちてきたカンナカムイのために、二つの家はたちまち焼けおちてしまった。そのあとに、アカダモ(チキサニ)の木とオヒョウダモ(アトニ)の木とが、焼け焦げて立っていた。二人の少女は、チキサニ媛(ひめ)とアトニ媛だったのだ。
 二人はこの日身籠り、やがてそれぞれ男の子を産んだ。チキサニ媛の産んだのがオイナカムイのアイヌラックルで、アトニ媛の産んだのがユカラカムイのポイヤウンペなのだ。だからこの二人は、腹違いの兄弟だ。アイヌラックルの顔が赤いのは、赤い木のチキサニから生まれたため、ポイヤウンペの顔がまっ白なのは、白い木肌のアトニから生まれたためだ。
『アイヌの神典−アイヌラックルの伝説』より


チキサニ

アトニ

私はこんなひと

仲間のプロフィール 藤池 由佳さん

  こんにちは、藤池と申します。なかなか会の活動には参加出来ておりませんが、昨年の夏に入会しました。
 ふだんは手作り石けんの講師をしつつ、まだ駆け出しですがレタッタ(アイヌの言葉で白樺樹皮を意味します、)という名で白樺樹皮細工作家として活動しています。「白樺細工」ってご存知でしょうか。白樺の樹皮を等分にカットしテープ状にしたものでカゴやオーナメント、アクセサリーなどを編む北欧やロシアの手工芸です。
(写真 6.白樺細工)
 とても美しい木なのに北海道ではあまり利用されてない白樺の木。その樹皮を活用して、白樺細工を北海道の伝統工芸にしたいと創作活動を始めました。ところが、どこにでもある白樺なのに樹皮を採取させてもらうことが思いの外難しく…何の進歩もないまま何年も過ぎていた昨年の夏。ウッディーズさんに助けを求めたところ親身になって下さり、今に至ります。
 とはいえ、まだまだ樹皮採取が順調にいっているとは言えない状況で今年もかなり苦戦。石田さん、高川さんには個人的に大変ご負担をおかけしてしまった次第です。
 白樺細工を始めたことで少し森が身近になったと同時に、私のような都市部に暮らす一般の人間にとって林業は遠い社会なのだと感じられるようになったのも確か。今後、個人の森林所有者の方に「樹皮やそれ以外の森の恵みを必要としている人がいて、もしかしたらこれまでお金にならなかったものが宝の山であるのかも・・・」という事を知ってもらい、双方を情報やサービスで繋げるような活動ができたらいいなと考えています。 

 

これからの活動予定(8〜9月)

◆10月8日(土)北山山林(千歳市)枝打ち等々  
◆10月15日(土)高川山林(小樽市)山林調査打合せ 翌16日(日)【自然観察会】
◆10月23日(日)高川山林(小樽市)風倒木処理等 
◆10月29日(土)高川山林(小樽市)間伐等    
◆11月5日(土)荒巻山林(札幌市南区)山林調査 
◆11月12日(土)高川山林ネズミ防止ネット取付 
◆11月19日(土)大島山林(苫小牧市)風倒木処理 
◆11月27日(日)高川山林(小樽市)間伐等    
紅葉狩りを兼ねてどうぞ。

 

編集後記

 ハルニレとオヒョウの写真は私が撮りました。カメラのせいかウデのせいか、不明瞭な写真ですいません。木を一枚の写真で表現するのは難しいと実感。
 理想的なモデルを探すのもひと苦労。ハルニレは仁木町、オヒョウは台風被害の空知川のそば、南富良野町幾寅で見つけました。
 次号は残念ながら休刊とさせていただきます。編集担当が長期出張で不在です。申し訳ありませんがご了承のほど。(大竹)

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