森林人通信

2021年 ≪冬号≫ Vol.120  2021.12

10月、11月の活動のあらすじ

  • ●10/24(日) 髙川山林 作業道づくり・笹刈り  参加者:15名
  • ●11/6(土) 恵庭市防風林 灌木処理 参加者:12名
  • ●11/13(土) 苫東環境コモンズ 枯損木処理 参加者:17名
  • ●11/28(日) 苫東環境コモンズ 枯損木処理 参加者:9名

秋です!

10月24日(日) 髙川山林 ・天候:晴れ ・参加者:15名

 今日のフィールドは前回に引続きのワォーの森。3週間ぶりに訪れると山の木々達はすっかり色付いています。
 空気も心なしかひんやりとした秋晴れの空の下、朝一番の仕事は土留めに使用する丸太を固定するための鉄筋曲げ。ベンダーを使って先端を120φのフックにしていきます。ベンダーのレバーを上下する宮田氏と会長のコンビネーションプレーで鮮やかに仕上がっていきます(自画自賛)!

 そうです。会長とは名ばかりの朝から快調なのは私です。(会長と快調。ぷぷぷっ!ナイスなオヤジっぷりです)
 そして今日も山頂の笹刈りが待っています!!ここを活動場所としているもう一つの団体「認定こども園 かもめ保育園」の園児のために〈熊さんバイバイ作戦その2〉の発動です。
 本日は4人でフォーメーションを組んでいきます。まるでミスチルならぬフォーリーブスのようないぶし銀の面々が徒党を組んで山を駆けのぼっていきます!

膝が痛い、腰が痛い、動悸が、息切れが。。という心の声はなぜか木霊のように響き渡っております。独り言が大きかったみたいです。
 まずは笹刈りを3名に任せて私は蔓切りです。斜面を見下ろすと樹々にイワガラミ等の蔓がごちゃごちゃと絡んで見通しを悪くしております。トムソーヤのごとく軽快に木に登り、もじゃもじゃを取り除いていきます(残念!写真が有りません)。手の届かないものは生え際の太いところを手鋸で切っていきます。ハーハーッ。息が切れますが蔓も切れます。
最後は童心に帰って「アーアアー!」と叫びながらぶら下がります。
笹刈りのほうもなんとかかんとか終了してお昼に下山。

 お弁当タイム!この一時のために汗水も鼻水もたらしているといっても過言ではありません。どうですか!このおにぎりのほおばりようと言ったら。
今回も「かもめ保育園」からおやつを頂戴しました。青空の下で食べる甘みが体中に染みわたります!ごちそうさまでした。

 午後からは道づくり班に合流して作業道作り。この道は5か年計画で今年から着手した大事業です。手作業で山林の外周路を作ります。
 散策路・管理道路兼薪材搬出路となります。そしてこの作業路を作るために各方面から様々なご協力を頂いております。本当にありがたいことです。
 そして今日は20mほども進みましたでしょうか。新しくできた道と既に落ち葉が降り積もった道との対比がおもしろいです。

 さて今回で今年のワォーの森は終了です。あとは11月の3回の活動を残すのみ。今年もたくさんの会員さんに参加していただきました。最後まで無事故でがんばるぞ!

(冨士本:記)

ちょっと、ものたりないよー!

11月6日(土) 恵庭市防風林 ・天候:快晴 ・参加者:12名

 本日の現場は恵庭です。札幌市西区住みのわたくしには、1時間強の道のりはちと遠い。けれども天気は上々だし、道は(まだ早いから)空いてるし、早朝ドライブと思えばいい感じ。
しかし待ち合わせ場所に着いてみると、さらに遠く2時間かけてやって来たという人がいてびっくり。根性が違いますねえ。さて、面子が揃ったところで現場に向かいます。
 作業内容は「圃場横の防風林の灌木処理」ということですが、広大な畑地に忽然と現れた防風林がその場所。畑に面した約1列分の、高さ約2mほどの灌木を処理するというミッションです。林内を見ると枯損木も少なくないのですが、防風林の機能が損なわれる恐れがあるということで、あくまでも外側だけが目標となります。

 本日のリーダー松田さんの朝礼がとても印象的でした。「現場には危険しかありません。安全とは、その危険を回避することです」 なんとシンプルで強いメッセージでしょうか。この言葉、いつかわたくしも拝借したいです。(終礼の時の「ヒヤリハット事例の300回に1回は重大事故だと言われています」にもハットさせられました。プロの言葉は重みが違います)
 差し渡し4〜500mもあったでしょうか、横に長〜い現場にメンバーそれぞれが散らばり、灌木をチェンソーで伐ったり倒木枯木を林内に片付けたり、という作業にいそしみます。木は混んでいるし、ツル性の植物が夥しく絡まっていて、もう何がなにやらといった感じですが、みんなでやれば作業も早い。

昼を迎える頃には、目標の列はすっかりきれいになっていました。
 誰かの「人数の割に作業量が少なかったね・・・」というつぶやきとともに本日のミッション終了、お昼タイムとなります。みんなで農道の日だまりに腰を下ろし、特配(手弁当が基本ですが、会のほうから時々配給があります)の「高級カップ麺」を受け取り、お湯が沸くのを待ちながら、のんびりと話の花が咲きました。

「毎日が地獄です」と書かれたほっかむり(会長職って辛いのね)サンガリア事件(詳細自粛)

 遙か遠くで建設中の、話題の新球場(「ビッグボス」、気になりますね)向こうの家のほうで激しく吠える多数のワンちゃんたち(なんだったんでしょうね)
終礼で振られた「今日の感想は?」に、「つまんない!」の瞬殺回答(お昼で終わりだったからね)
などなど・・・短い割には話題豊富な、今日も楽しい1日(半日)でありました。

(早坂:記)

寒い時期のカップ麺最高!薪材もバッチリ確保

11月13日(土)苫東環境コモンズ 育林コンペ(枯損木処理、林床整理、薪材集め)
・参加者:17名(こども2名) ・天候:晴れ

 今年4月に入会した園田です。よろしくお願いします。
初回の参加以降、コロナの影響やキャンプ活動のため、夏場は参加できませんでしたが、自分のキャンプシーズンも終わり、秋口からは積極的に参加させてもらっています。さて、今回の現場は、毎年定例となっている苫東地区の育林コンペです。
 集合場所の苫東中央ステーションまで、自宅のある北区からは下道で1時間半ほどかかりますが、国道337号の自動車専用道を通ると思ったよりも快適に走れました。集合場所から現地までは、泥濘や水溜りだらけの林道を数分走って到着です。
 まずは、北山さんから育林コンペの経緯についてお話があり、1ha当たり1,500本程度の樹林密度を目標に管理することや、冨士本会長からは直径5m以上の“穴”を作らない、でも薪材の確保も必要である、など、実際の作業方法について指示がありました。
その後、いつものラジオ体操(今回は標準語Ver.でした)を行ってから、各自散らばって作業開始です。
 私としては、とりあえず枯損木の処理を優先して、間伐についてはベテラン会員さんにお任せです。

天気も良く、作業していくうちに暑くなりましたが、自然の中の作業は本当に気持ちが良いですね。
 そうこうしているうちに、12時前には午前の作業も終わり、お昼ご飯です。前回は“高級カップラーメン”が提供されましたが、今回は“一般カップラーメン”?の提供です。でも、わがままを言ってカップヌードルをお願いしたら、ちゃんと買ってきてくれました。佐藤さん、ありがとうございます!

 午後は、午前の間伐材を収集して、持ち帰り分が足りなければ間伐するという予定でしたが、午前中の間伐で十分賄えたようで、残っていた枯損木を処理して早めに終了です。
 車は泥だらけで大変なことになっていましたが、良質な薪材も手に入り、充実した一日を過ごすことが出来ました。次回で今年度の活動も終わります。時期的にお天気が心配ですが、最後の活動を楽しみにしています。

(園田:記)

今年の締めくくりの活動は 雪景色

11月28日(日)苫東環境コモンズ 育林コンペ(枯損木処理、林床整理、薪材集め)
・参加者:9名  ・天候:晴れ

 人の記憶は曖昧なものです。今日の活動境界のことで、こんなやり取りがありました。「この先に沼がある」「柵だよ」「沼」「柵」「4人で行ったんだから間違いないよー」 ”会長 対 レディーズ” はレディース圧巻勝利の瞬間でした。この風潮はどの世も違わず、我らがウッディーズも例外ではないようです。
 さて、気を取り直して、今回の任務?失礼しました現場は丁度一年前、私を森人ライフへ誘った苫東環境コモンズ 育林コンペ、通称?苫東コモンズ。11月2回目となる今回は、シーズンを締めくくる最終日に相応しく雪景色からのスタートでした。

 待ち合わせ場所の苫東中央ステーションまで自宅から通常30分とかかりませんが、昨日まで東京へ出張している間に道路も薄ら冬化粧に様変わりしているため、いつも以上に慎重に集合場所へ向かいました。
 現場までは、薄氷の水溜りや雪混じりの泥林道を数分走って到着です。途中ひっそりと小屋があるのをご存知かと思いますが、周辺に積まれた薪を持っていく不届き者がいたとの情報を得ております。後日積み残しの薪材を運搬する際は、くれぐれもその様な輩と間違われることのない様、手続きと細心の注意が必要です。

 ミーティングでは前回お話があった通り1ha当たり1,500本程度の樹林密度を目標に管理しつつも、本コンペ活動参加5年?にして作業ポリシーの一部を見直す岐路にあるのではとの意見もちらほらとありましたが、その辺りは役員会に委ねたいと考えます。また恒例の安全啓発ですが、今回残念ながら不参加となった松田さんより託された安全に関する諸注意事項を冨士本会長より再徹底されました。加えて、「沢山の危険を排除することで少しばかりの安全が成り立っている」との名言を残し、会長の威厳が回復されたところで標準Ver ラジオ体操を行い、作業の開始です。
 寒さと前回の作業進度を考慮し、枯損木の処理と間伐材の運搬及び積載作業後のラーメンタイムを掲げたため、手際とチームワークで首尾良く作業を昼までに完了することができました。登山者が山頂でカップラーメンを食べて満足感を得るのと同じく、軽く汗をかいて一定の成果を得られた後のラーメンは自然環境と相まって本当に気持ちが良いものです。まさに「整いました!」色々準備して頂いた佐藤さんはじめ、お湯等の持ち寄りありがとうございました!
 また、恵庭市役所より頂いたお菓子とサンガリヤコーヒーを余すことなく分配し、早めの解散となりました。
 今回も透き通った青空や森の香り、同じ志を持った仲間との会話を楽しむことができ、参加された方々にとって充実した一日となったことと推察致します。
 残す行事は忘年会とのことですが、未だ宿敵コロナは姿形を変貌させ警戒の隙を突いて忍び寄るかも知れません。会長の名言をお借りしまして、「沢山の感染リスクを排除することで少しばかりの森林保全活動が成り立っている」と変換させていただき、この一年を振り返りながら本年最後の活動を楽しんでいただければと考えます。

(海岡:記 )

私はこんなひと 園田さん

仲間のプロフィール:園田 さん

仕事:公務員  趣味:キャンプ・写真撮影

 2021年に入会しました園田です。よろしくお願いします。
若い時からキャンプが好きで、キャンプと言えば焚火(&お酒)が欠かせません。そこで、20年ほど前に家を建てる時に、その雰囲気を少しでも取り入れたくて薪ストーブを導入しました。
それからは、毎年苦労して薪材を調達しては、住宅街でチェーンソーをぶん回して薪づくりに励んでいたところ、近所のお姉さまから、「そんなに好きなら参加してみたら?」と紹介されたのが “札幌ウッディーズ” でした。
このような会に参加するのは初めてで少し抵抗感もあったのですが、4月の体験入会時の会員皆さんの和やかな雰囲気で、そんな感じは全く無くなりました(即、入会決定!)。
2021年は7回の活動に参加しましたが、“森を守り、育てる”という会の大義のもと、趣味と実益が満たされて非常に楽しい時間を過ごせました。
2022年は、特に2021年に参加できなかった山林に行きたいですね。時期的にキャンプシーズンと重なるので、日程調整して臨みたいと思います。

私はこんなひと 早坂さん

仲間のプロフィール:早坂 さん

仕事:自営業  趣味:山歩き・山スキー、音楽 etc...

 ただのおっさんです。
札幌ウッディーズの門?を叩いた理由は3つあります。
①薪の調達先を広げたい:薪ストーブの家に住んで7年。薪はなんなら買ったっていいわけですが、自分で伐って運んで割って…の方が絶対楽しいし、暖かいです。
②危機感:2021年4月から在宅仕事になり、もともと無口なのが壊滅的に(家族は別として)人と喋らなくなってしまいました。この歳で黙ーって生活してたらマジ、ボケます。人と交わる機会を増やさないばダメだ。
③チェンソーが、好きだー:なんででしょうね? 妙に惹かれる道具です。以前から薪材の玉切りや伐採の手伝いでいじってはいたんですが、もっとちゃんとこの機械が使えるようになりたい…。
仕事は自営業。広告業の隙間を埋めるような仕事をしています。趣味は山歩き・山スキー、音楽、女バス観戦、あと間伐ボランティア。好きなものはライスカレー。嫌いなものは、スプレーとか洗剤とかが残り少なくなった状態。いま欲しいものは、軽トラ、もうちょっと大きいチェンソー、エアコンプレッサー、オタマトーン、包丁(宮文で可)、時間。
北海道夕張市出身。現場では大して役に立ちませんが、どうぞよろしくお願いします。

森林人コラム

「樹海に生きて どろ亀さんと森の仲間たち」 のススメ

(高橋延清 著 講談社)

 森林研究で著名な、どろ亀先生(高橋延清さん、1914~2002)のエッセイ集のご紹介です。親しみやすいお人柄が偲ばれるような楽しいエピソードが満載で、どろ亀先生の入門書として最適と思われる一冊です。
 どろ亀先生は、岩手県のチベットと呼ばれる雪深い沢内村出身で、東京大学農学部林学科卒、東大名誉教授として、富良野の東大演習林で天然林の施行方法の研究に生涯をかけて取り組まれた方でした。その間、東大の教壇には一度も立たなかったというエピソードから、面白い先生だなぁと思っていたのですが、どうやら、確固たる信念があり、そのようなことになっていたようです(おそらく、“百聞は一見にしかず“ で、森林こそが学舎という、現場主義が理由と推測されます)。その肩書きからは、超エリートの偉い先生!と、恐れ多い気持ちになりますが、山の仲間たちからは、親しみを込めて「どろ亀さん」と呼ばれ、ご自分のご家族も「子亀、孫亀」などと呼び、文章の端々からはユーモアが溢れ、田舎者でちょっぴりドジな失敗談もあり…、親しみを感じざるを得ません。
 業績として知られる「林分施業法」については、この本には詳しくは書かれていませんが、当初、大学で学んだドイツ流林学を基礎にした実験はことごとく失敗し、森林にそっぽを向かれてしまったそうです。ひどく落ち込んでいたどろ亀先生に、大樹の「エゾマツさん」が声をかけてくれて、森を育てる方法を教えてもらったという、不思議なエピソードが載っています。ちょっぴりファンタジーのような雰囲気もありますが、おそらく、本当に体験されたことなんだろうと思います。森の木々や生き物などは、親しみを込めて「さん」付けで呼び、尊敬の念と愛情をたっぷり注いで、36年もの歳月をかけて森を育ててきたといいます。心を通わせていた森の生き物に関する話も満載で、どれも興味深く読みました。私が特に関心したのは、「ヒグマさんなどは、昼寝を邪魔しなければ、ちっとも怖くない」というくだりです。森のエキスパートになれば、ヒグマさんも怖くないんですね…。ですが、「ヘビさん」はどうしても大の苦手だそうで、熱心にその「嫌いな理由」を述べているところが、また微笑ましく感じました。
 この本を読み終えたら、「詩集 どろ亀さん」(高橋延清、緑の文明社)をぜひ読んでみてください。どろ亀先生の人生の色々なエピソードを凝縮したような、詩の言葉がスッと入ってきて、時折、ホロっときます。

(佐藤 ひかり)

* 本書は、 新山川草木を育てる集い会長・藤原滉一郎先生からウッディーズに寄贈いただいた書籍です。 藤原会長には心からの感謝を申し上げます。

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