森林人通信

Vol.106  2017.9.25

2017年度活動 進行中
  春 枝打ち、草刈りなど頑張りました!

 この半年、種々の事情から「森林人通信」を発行できませんでしたが、活動の方は年度計画に沿って進められています。遅ればせながら、札幌ウッディーズ・ブログ「活動の記録」の要旨を転載し、作業の模様をお伝えします。(ブログ投稿者名は省略)

ワオーの森(小樽市)

4月8日 参加18名

 平成29年最初の定例活動は、毎年恒例、高川山林・ワオーの森での薪づくりです。強風が体にしみる天気ですが、木の搬出班と薪割班に分かれ、元気いっぱいに活動を開始します。

力と呼吸を合わせて

 搬出班は、昨年伐採して斜面上部に積み置きしていた木をブルーシートに乗せ、3人一組で雪の上を滑らせて麓まで搬出します。

 薪割班は、搬出された木をチェーンソーで切る人、まさかりで割る人に分かれ手際よく割っていきます。
 割った薪は、薪小屋に綺麗に積まれていきました。

ワオーの森(小樽市)

碧く輝く石狩湾を眼下にジンギスカンランチ

4月23日 参加18名
 前回に引き続き薪づくり。各々が気の向く作業をしながら薪づくり体験を楽しみました。どの作業も体力仕事で、肌寒かった体も汗が噴き出るほどに暖かくなってきます。
 昼食は、宮田会員の手作りソーセージも登場したジンギスカンランチ。手作りソーセージは素朴な味わいで、市販のソーセージとは一味違った美味しさです! 更に、宮田奥様特製スープも登場。ピリ辛の中華風とも韓国風とも言えそうなスープで、具沢山で出汁も効いていてとても美味しい。おかわりする人もいて、大鍋いっぱいのスープはあっと言う間の完食。
 山林から眺める小樽の海も青く輝いています。

荒巻山林(札幌市)

胸高直径を測り、樹種を同定する

4月30日 参加9名
 荒巻山林ではアカエゾマツ人工林の間伐・枝打ちを継続的に行ってきていますが、この日は人工林に隣接する天然林の森林調査です。
 ウッディーズが行う山林調査は、KK会員の指導に依るところが大きく、調査の意味・手法がわかりやすく伝授されます。同氏はまた森林インストラクターでもあり、「この樹 何の樹?」という樹種の同定、樹の特徴などについては、その博識ぶりに感嘆の声を抑えることが出来ません。
 調査は、標準地(30×33m)の設定に始まり、標準地内にある直径5㎝以上の樹木すべてに、ナンバーテープを打ち付けていきます。
 次に、ナンバー(数字)に従い、一本ずつ輪尺(りんじゃく)を当てその直径(径級)を測ります。あわせて、樹種とその品位(質)を判定し、離れたところにいる記帳係に大声で伝えます。
 荒巻山林では、次回から人工林ゾーン=アカエゾマツの枝打ちを行います。

ワオーの森(小樽市)

5月13日 参加16名
 今年3回目のワオーの森は、今日も玉切り材の搬出と薪切り・薪割り。IS家は前回に引き続き、ご夫婦とお子さん(姉弟)の一家総出演。お姉ちゃんは、頭と体を使って一人前の働き。ボクもチョコチョコ動き回っては、場を和ませてくれます。
 薪を得るために木々を間引くことが山の整備につながります。

春の陽射しを浴び、切って、割って、運んで、心地良い汗を流す。

北山山林(千歳市)

5月20日 参加7名
 180ヘクタールの広い山林のうち、当会が関わるのは4ヘクタールほどです。
 北山山林は、昨年度、北海道森と緑の会主催「森林づくりコンクール」で優秀賞を受賞した。「作業協力いただいたアカエゾマツ林が表彰対象だから、会の功績です。」とは会員でもある山主の北山さんの弁。
 作業は林道の草刈り。暑さに閉口したが、昼食の、この日に打ってつけの冷たいソバでリフレッシュ!。
 帰りがけに、山菜を少しいただきました。
 オオルリ、キビタキ、センダイムシクイなど野鳥のさえずりが心地よい。

北山山林(千歳市)

5月28日 参加6名
 前回に引き続き草刈り。(この日のブログ「活動の記録」は、林内の植物に多くのスペースを割いて、虫などの生き物にも及ぶ。)
 北海道ではおなじみの茶色く大きなカタツムリ。すごいのは天敵であるエゾマイマイカブリやオオルリオサムシなどの昆虫に襲われたときに殻をぐりん、ぶるん!と振り回して、そいつらを追い払うということ。
 これは北海道大学農学研究員の森井悠太さんが研究・確認し、2016年11月イギリス科学誌電子版に発表。エゾマイマイはすごい。それを見つけた森井さんもすごい。あぁ、同じ名前でこうも違う…。森井さん、ガンバってください。私もガンバります。(注 この日のブログ担当は森井会員)

 森に木とは別の生き物がたくさん生息できているかどうかも重要な環境の指標である。木を製材として世に送り出すための森林整備は大切だが、同時に「豊かな森」へ導くための配慮もなければならないと感じる。

夏 働いた、暑かった、美味かった

22世紀の森(当別町)

7月8日 参加6名
 友誼団体である「新山川草木を育てる集い」に対する協力活動で、作業は植樹した木の生育を助けるために草や灌木を刈り払う「下刈り」である。
広々とした気持ちの良い植林地だが、日陰がないため、暑さとの厳しい闘いだ。
 しかし、毎年、順調に育つ木々と会う楽しみがある。
 その上に美味しいことも…。お昼には決まってジンギスカンが供される。ムチ打った体に肉の栄養分がしみ込んでいくよう。みんなで貪るように頂く。

柴原山林(札幌市)

7月23日(日) 参加8名
 柴原山林は、会員である出倉さんのおじいちゃん・柴原茂松さんが慈しんで育てた森である。2004年の18号台風で手ひどい被害に遭った森を黙然と眺めていた柴原さんは時を経ず90歳で亡くなられたという。
 遺品のメモが故人の生き方と森への思いを偲ばせる。

イテテテテテ…!!

 この日はいつものように、始業前のKY(危険予知)活動を行う。事故を未然に防ぐために、作業に潜む危険を予想し、指摘しあうものである。
 冨士本さんが用意してくれた刈払い機による事故の統計を確認して、機械使用時の事故の可能性を話し合う。刈り刃に草が絡んだときはエンジンを停止する、他の作業者の動きと間合いを常に意識する。スズメバチへ警戒を怠らないことも大事だ、とか。
始業前には準備体操も。5分程度で、頭も体もスッキリさせる効果があるというから悪くはないのだが…。

荒巻山林(札幌市)

枝打ちする人たち。 I Y ちゃん(小3)画

8月5日(日) 参加12名
 この日のKY(危険予知)は小さな参加者もいるので、いつも以上に分かりやすく伝える。ハチ、アブ、毛虫、ヘビ、クマ、この山にはみんないるよ。ハチが飛んできても手で払いのけないこと。みんなから離れて一人で行動しないこと。作業中の大人のそばには近寄らないでね、等々。
今日の作業・枝打ちについて、その目的・手法を確認する。節のない、まっすぐで太い良質な材が取れるように、枝の付け根の膨らみ=枝座(しざ)を残して枝を切り落とす。これで、傷口が樹皮に包まれる「巻き込み」を早め、病原菌の侵入を防ぐことができる。
 手ノコと高枝用ノコを用いた枝打ち作業で見通しと風通しが良い森になった。

前会員・NKさんの旺盛な活動の日々

先年退会されたNKさんは、最近号は241号となる「N氏のひとり新聞 やちだも通信」を発行し続ける。未だに月10冊も読破する読書家。エスペラント語の学習、映画館・美術館巡りも怠らない。ワオーの森のシウリザクラを気に掛けられて、別掲の切り抜き(道新:2017/09/8)を送っていただいた。
変わらぬ思いやりに感謝しつつ、ご健勝を…と願う。

道新:2017/09/8

ウッディーズと「森林人通信」に寄せられた 高原さんの思い

会員の高原久美子さんが7月22日に亡くなられた。
 高原さんは2011年の入会だが、あまりお丈夫でなかったために力仕事を伴う作業への参加は多くなかった。しかし、ウッディーズへの思いは極めて強く、「森林人通信」へはたびたび投稿してくださった。
 野幌自然公園やワオーの森をよく歩かれ、その観察記をたびたび寄せていただいた。
 大震災後の福島を幾度か訪れ、その印象記を都合3度にわたり寄稿いただいてもいる。100号(16年4月)に掲載の「あれから五年 福島の今を見て」は、「福島を忘れまい、小さなことでもいい、何かをやらなければ…という思いを強くした短い旅でした」と結ばれている。
 その言葉のとおり、その後、あのおとなしい高原さんが…と思わせるような活動に身を投じていく。反原発の会に入ったり、安保違憲訴訟の原告になったり、街頭宣伝に立って通行人にアピールしたり。
 もともと、社会へ鋭く温かい視線を注いでいた方だったが、福島の惨状を目の当たりにして、未来世代のために…と、全身全霊を投じていかれたのだろう。
 今年3月にワオーの森で行われた冬芽観察会に参加された時は少し辛そうだった。5月に、「連休明けに観察会をやるから、また!」と連絡を入れたときに、「間もなく入院することになっている…」と知らされた。
 持病に敗血症を併発し容易ならざる事態だとの報に接して駆けつけた時は、荒い呼吸に胸を上下させる無言の彼女を見つめるだけだった。
 別離は突然にやってくる。人との縁を仮初めにするまじ…との思いを深くする。
 衷心よりご冥福をお祈りします。
* 高原さんは、「森林人通信」80号、85号、88号、94号、95号、100号に寄稿されている。

編集後記

石田事務局長 休会へ
 石田事務局長が体調不良により活動を退くことになりました。面やつれが気になっていたのですが…。
 会務を中心で支えてきた、その存在の大きさ故に、代役もままならず態勢の維持が大変ですが、これを機に、重い荷物をみんなで分け合って背負う「気風」を醸成し、会活動を維持・発展させていく。このことが、取りも直さず石田さんの長年の労苦に報いることになるのでしょう。
 石田さんの、一日も早いご回復を祈念します。

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