在定 真一氏によるコラム「ログハウスは終わらない」
第4回 — 天窓は自然の入り口 —
我が家には4つの天窓があります。玄関に一つ、キッチンに一つ、ロフトに一つ、そしてリビングに一つ。ログハウスは開口部が少ないので、窓が小さめであり、明るくするためには天窓が必要と考えていたのと、天窓から見える外の景色にあこがれのような気持ちをもっていたので、設計段階でいろいろと試行錯誤の上に、その配置を決めました。
玄関とキッチンは小さ目の天窓で明り取りの目的で設置しています。期待通り、玄関は日中十分な明るさで、しかも吹き抜けになっているのでとても開放的です。ロフトとリビングは採光だけでなく、外の景色も期待しました。ロフトからは遠くの山々とオーンズスキー場の様子が伺えます。リビングとキッチンの天窓は、下からは空しか見えないのですが、角度によっては、木々の梢が見通せて、家の中に居ながら、外(森の中)にいる気分が少し味わえます。
そして、ここでの生活が始まると想定外の景色が楽しめることが分かりました。それは夜も更けてくる10時から11時頃になると、リビングの天窓を通して、十五夜そして今年は十三夜の名月のお月見ができるのです。妻も早速、その辺のすすきを採って来ては、薪ストーブの上に団子と一緒に飾りつけて楽しんでいました。
天窓のおかげで日中は非常に明るくなります。そして、その明るさも陽が昇ることで始まり、陽が沈むことで終わるという、まさに自然のリズムの中での生活を感じさせるのです。だから、夏は朝早くに目覚めるし、そして、天気が良く、月明かりで明るい夜は寝ていても薄っすら夜明けなのかと思うばかりの明るさを感じます。これは文章で説明するのが難しいのですが、寝室から玄関の天窓を覗くことができる(?)というちょっとしたからくりがあるのためなのです。
(これは実際に見ないと分からない構造です。あしからず。)
また、季節によって太陽の角度が変わることが、我が家のキッチンにも影響します。秋から冬にかけて朝食用に置いてあるパンに天窓からの日光が射すようになるのです。もちろん食料が傷むとまずいので、移動させます。観葉植物の位置も季節によって変わる日射しによって場所を調節します。
こういう風に書くと手間がかかるようですが、我が家ではこんな些細なことでも、自然の変化やリズムを感じて楽しむことができるのです。 (写真・筆者)
窓越の秋景 - 一幅の絵画
木の香が溢れるリビング、居ながらにして堪能できる森の景色、そして、美味しいコーヒー。
驚きと羨望の声が止むことなく...。
(在定邸見学会にて)