森林人通信

Vol.81 2013.2.1

学ぶことがイッパイ
 ‐講習会・勉強会などに積極参加‐

フィールドでの活動がオフになるこの時期、各種のイベントなどが開催され、多くの会員が参加した。活動を改善するための示唆に富み、かつ、励みともなる、それら催しの概容を以下にお伝えする。

ウッディーズ 北海道社会貢献賞を授章

表彰を受ける下山会長

12月18日 北海道社会貢献賞授章式 於 札幌・KKR札幌ホテル

 ウッディーズが、「森を守り緑に親しむ功労者」として知事表彰を受けた。受賞理由は「設立以来11年、延べ60か所以上で森林整備作業を実施した功績」。
 我々自身の実績を顧みて、どうだろうか。これまでの活動をしっかり吟味して改善点を探り、今後、「社会貢献」の名に恥じない活動を進めていきたい。  
 授章式には、下山会長、太田副会長が出席した。

地域資源の循環的利用で森に溶けこむ暮らし

1月23日 勉強会「森林活用最前線」  於 札幌 Lプラザ 

 「NPO苫東環境コモンズ」と「NPO森の生活」(下川町)が共催する勉強会で、ウッディーズから3名が参加した。
 講師の、岡山県西粟倉村「(株)西粟倉・森の学校」代表取締役牧大介氏が、山間の小さな村で展開する取り組みを紹介した。話しぶりは淡々としているが目を見張るような事業である。
 百年来、五十年来、先達が育ててきた森を今また五十年先を見据えて整備していく。
 一方で、間伐材の床材や家具、割りばしなどを製造・販売、出てくるおがくずを牛の敷料 → 堆肥にして田畑に戻す。農産品や鹿肉など「山の幸」を商品化する。
 要するに、地域資源の循環的利用を徹底して進めているのである。
 しかし、資金的基盤・支援制度の脆弱さに脅かされてもいるようだ。そんな不安を聞くと、林業・山村をめぐる厳しい環境に思いがいたる。国や州が連携して山間地域の経済、雇用、森林政策を推し進め、林業を主要産業に押し上げているドイツとの違いを思う。原発においても彼我の同じような構図が見られ、国柄の違いが際立つ。70年ほど前に、同じような国情から再出発した二つの国はどこで道を異にしたのだろうか。

森は楽しさに溢れている

1月26日 第3回北海道の森づくり交流会  於 コープ北12条店   

 コープ札幌から助成を受けている団体関係者などの交流会。当会からは6が参加した。
 中川重年京都学園大教授が講演し、森の様々な楽しみ方・関わり方をあげ、それに即した森づくりを提唱した。
 3団体の活動報告の後、各テーブルごとに、森を楽しむ「夢の企画」を立案する「お遊び?」があった。ウッディーズのメンバーが陣取ったテーブルに与えられたテーマは「森の美味しさを満喫する」。それなら、「森盛りカフェ」の開店だというアイディアが生まれ、売りのメニューは、ジビエ・鹿肉料理ということに。我がテーブルに若い女性ハンターがいたことから湧いた発想である。頭を悩めているエゾシカ対策にも有効であると認められたか、ベスト企画に選ばれ、〝豪華粗品〟をいただく。
 この交流会で感じたことは、皆さん、何やら随分楽しそうだなということ。我々も色々な形でもう少し森を楽しんでいいのかな、という思いがした。もちろん、愚直に木を伐ることを基本にして…だが。

基本技術習得の必要 痛感

1月28~31日 林業担い手研修・森林整備基礎コース  於 JR研修センター外 

 森林整備担い手支援センターが主催する、森林・林業の基礎知識から草刈り機とチェーンソーの取り扱い方法までを学ぶ講習会。当会からは6名が参加した。
 研修参加者は、安全・技術学習の必要性を非常に強く感じたようで、異口同音に会内においても不断の学習を実施しようと訴えている。この研修を契機に、安全意識と技術の向上に更に力を入れて取り組む体制が整備されそうな予感がする。
 本研修の参加者2名から、入会の希望が寄せられたことも嬉しい。

森、人生、未来、— みんな語った —
 ウッディーズ忘年会2012 佃 猛司

 今年もまた1年が終わる。この時期、誰だって忙しいに決まってる。にもかかわらず、世の中には少なくない数のモノ好き、失敬、モリ好きがいるようだ。
 そこは石狩湾を望む銭函の山麓、雪を纏った木々たちの閑散とした雰囲気の中に、一棟の山小屋「春香小屋」が凛と佇む。この師走の“激”多忙の中、そこには23人の森好きたちが集まっていた。

 申し遅れました。僕は北大で森林や木材について学んでいる学生です。ウッディーズに加入させて頂き、まだ2年目、活動参加回数4回、うち、忘年会率50%(間伐2回、忘年会2回)という、脅威の数字を誇るペイペイの若造です。今回、2012年ウッディーズ忘年会の報告記を書くという大役を預からせて頂き、大変恐縮した思いでこの駄文を書き綴っているところです。見苦しいところも多々あるかと存じますが、少々お付き合い願えたら嬉しい限りです。以下、常体に戻ります。

 さて、前振りが長くなってしまったが、ここから僕なりの忘年会報告とさせて頂きたい。
 この会の魅力は、なにより、老若男女、世代を超えた美男美女(あくまで私見)が一挙集結し、気兼ねなく交流を図れることだ。特に僕にとっては、いい年を召された人生の先輩方がまるで子どものように楽しそうに、酒を交わし、冗談を言い合い、大声で笑い合う。この状況がなかなか物珍しく、心休まる。
 いい感じに酒も入ってきたところで、(呂律が回らなくならないうちに)今年の活動で良かったこと、悪かったこと等を各々振り返って発表していった。

反省と抱負をこもごもに語る

カメラを向けるとすかさず
煎餅を咥えておどけてくれるI。
優しくて剽軽(ひょうきん)な
今どきの若者…。中央が筆者。

 参加者の多くは、無事ケガもなく今年の活動を締めくくれたことや、自身の参加率が低かったことなどについて語った。ある人は今後の活動に向けて、自身の仕事の専門性を生かし会の安全に寄与したいと語り、またある人は自身の甲子園出場経験を活かし貢献すると語った。

 色々な話があった中、僕なりに特に印象に残っている話はオーンズ(スキー場)との関わりについてだ。これについては森人通信2012年12月号を参照願いたいのだが、要は、この経験が今後のウッディーズとしてのあり方について大きく考えさせられるものだったということだ。
 僕はまだウッディーズの運営に関われていない。だから、気軽で楽しいボランティア団体のウッディーズしか知らない。しかし、その親しみやすい外見の裏側には、運営陣を中心とした多くの方々のご尽力と強い思いが隠されている。そんな、共同体としての当たり前の姿を改めて確認させられた忘年会の1ページとなった。
 そして、また賑やかなドンチャン騒ぎが始まる。森、暮らし、人生、僕らの未来、話は尽きることがない。
 今年も春香小屋に灯る暖かな光は夜更けまで続いた。


ペレットストーブ顛末記(その一) 大竹 啓之

 このたび、自宅マンションにペレットストーブを設置することになりました。札幌市の補助金に申し込んだら、あっけなく当たってしまったのです。当たったといっても、希望者が少なすぎて抽選にならず、全員当選で当たったのですが。10万円もらえます。
 最初のきっかけは素朴な疑問からでした。

*ペレットが普及すると山林がよみがえります。
 それって本当なのか?
 ペレットが普及しないのはなんでなの?

*石油に依存した生活から、エネルギーの地産地消をめざしましょう。
 それははたして現実的なの?
 そもそも、一戸建てならともかく、マンションにペレットストーブは本当に付けられるの?
 一戸建てよりも集合住宅がはるかに多い札幌でペレットを普及させようとしたら、マンションで使えないようじゃ意味ないんじゃないの?

 ネットで検索しても、マンションでペレットなんて情報はぜんぜん見当たらず、なにが本当なのかわからない中で、とにかく行動をと思い、まずは業者に部屋を見てもらいました。
 最初は伊達の業者に電話で相談。返事は、「壁に穴開けられますか? できなければ無理ですね」とあっけない。なんだやっぱり意味ないなと思っていたところが、たまたま知り合った富良野の業者が言うには、「換気口から煙突出せるからぜんぜん問題ないですよ。すでにマンションにも設置してますよ。まずは補助金に申し込んでみてからですね」とのこと。
 そんな経緯で補助金が当たってしまったのですが、まさかこんなに簡単にことが運ぶとは思っていなかったので、自己資金も用意しておらず、その反面、いまさらやめますとも言えず、引くに引けない状態になってしまいました。
 いよいよ2月に据付の予定なのですが、いまだに不安がいっぱいです。自己負担がかな
りあるのでそのことが第一ですが、それ以外にもたくさんあります。例えば、本当に部屋を暖められるのか、換気口をひとつつぶしてしまって問題ないのか、狭いマンションでペレットの袋をどこに積み上げるのか、点火はだれでもできるのか、上の階からクレームが来ないか…、要するに、自分は覚悟していても、家族や周りに納得してもらえるのかどうか。
 すでに薪ストーブを使われている皆さんにはかないませんが、都会暮らしの中でこんなふうにささやかに木とのかかわりを模索しています。 (続く)

森林人歌壇

 薄氷の張りし轍に遊びゐる幼ら春のさながら光
  いくばくか日の伸びたるや午後三時あはき夕映屋根越しに見ゆ

原 公子

 夕つ方竜巻注意報出し空青鷺いちはおほどかに飛ぶ
  気付かずにわれ歩み来し畑の端小さき玉葱茎枯れて並む

高橋 千賀

 カラマツの大木倒す大仕事チェーンソー使うに緊張走る
  小党の溢れる如く湧き出でて主張差不明の投票日来ぬ

中野 常明

林間独語

 一月末に葬儀で網走へ行ってきた。車で行くつもりだったが、出発前日、網走の隣町・小清水で起きたスリップによる死亡事故の新聞記事を読んで不安になったところへ、「お願いだから汽車で行って!」と娘からのメール。結局、久しぶりの列車旅行となった。

 車内放送が「鹿との接触で急停車する場合がありますので…」と再三注意を促す。しつこいなぁ、と思っていたら上川あたりでホントにぶつかって10数分停車、「鹿の除去作業が終わったので…」と動き出した。

 JR北海道によると、シカとの衝突や回避のために遅れが出た「事故件数」は04年度に千件を超え、11年度は2325件に達した。エゾシカ生息数の増加を物語る数字である。農業・林業被害金額も64億円(11年)に及ぶ。コープ札幌の「森づくり交流会」で鹿肉を食べる「森盛りカフェ」を企画(?)したばかりだが(別項「第3回北海道の森づくり交流会」参照)、鹿の駆除ならぬ有効利用を改めて考えさせられる。

 網走の葬儀場ではもう一つの葬儀が営まれていた。本欄の冒頭で触れた小清水の方だった。老いたご両親を遺し、65歳で逝かれたという。合掌。

活動予定

1 自然観察会&講演会 − 春を待つ野幌森林公園で −
  日時 3月9日  9時45分
  場所 野幌森林公園自然ふれあい交流館
  ・午前 野外観察
 講師 春日・中野 両会員
  ・午後 講座「林業の歴史を地域づくりに活かす -士別市朝日町の事例から-」
   講師 青柳北海道開拓記念館学芸員(会員)
  参加申込み先 石田事務局長

2 ウッディーズ第12回総会
  日時 3月20日 午後1時 Lプラザ2F
 (1) 議事 (活動の総括、方針の決定)
 (2) 講演 (「自然の妙理、人の技 -林分施業法を受け継いだ多様性の高い天然林-」)

講師:青柳 正英
≪講師略歴等≫
京大林学科で森林生態学を学ぶ (四手井綱英門下)。道林務部の技術職として道有林の森づくりに携わる。現在は、道民の森のボランティアとして、自然解説や植樹指導をする。林業と環境分野の技術士の資格を持つ。

編集後記

 言い訳めくが、「森林人通信」の発行を遅らせる「事件」が相次いだ。その一つは、ワオーの森の展望テラスが傾いてしまったこと。補修をサボっていたところに雪の重みが加わわったためだ。
 今季の雪は、老いの身に殊のほか重く感じられる。