森林人通信

2020年 ≪春夏秋号≫ Vol.115  2020.10

 今年度はコロナウィルスの影響で… 総会の中止から始まり4月〜5月上旬までの活動が中止、本格始動は5月後半からの活動になりました。活動の再開には、札幌市からの要請「ボランティア活動団体への注意事項」を遵守し、密にならないようソーシャルディスタンスに気をつけながらの活動となりました。当会の性質上、室内で密になることはなく、役員会で検討の結果、以下の注意点を守って活動を再開することになりました。

・身体に不安がある方は参加を辞退する
・朝のミーティング時・昼食時は、ソーシャルディスタンスを意識する
・作業中は熱中症等の危険性から、周囲を意識しつつマスクは外す
・当面、お昼の提供は中止

6月〜9月の活動のあらすじ

  • 5/24(日)柴原山林(風倒木処理 林内整理草刈り)  参加人数:16名
  • 6/13(土)江別市の防風林(林風倒木・掛木処理) 参加人数:15名
  • 6/28(日)江別市の防風林(林風倒木・掛木処理) 参加人数:14名
  • 7/11(土)当別22世紀の森 下草刈り 参加人数:12名
  • 7/19(日)柴原山林 枯損木処理 参加人数:11名
  • 8/8(土)恵庭市防風林 風倒木処理 参加人数:13名
  • 8/23(日)北山山林 作業道の草刈作業 参加人数:10名
  • 9/12(土)北山山林 風倒木処理 薪材収集 参加人数:11名
  • 9/18〜9/21 ウッディーズキャンプ2020  参加人数:8名

5月24日(土)柴原山林(風倒木処理 林内整理 草刈り)

参加:16名 天候:晴れ
 本年2回目となる柴原山林の活動に参加した。そういえば2年前の柴原山林での活動記録も筆者が担当したことを思い出した。何か縁があるのだろうかと思いつつ報告を進めることとする。8:50分頃現地につくと、すでにほとんどの方々が準備を整えていた。コロナウイルスによる外出自粛のうっぷんを晴らすべく、はたまた活動後のタケノコ狩りに命を懸けるためか、皆さんの意気込みがひしひしと伝わった。いつものようにラジオ体操で体をほぐし、作業リーダー友子さんから作業内容の確認、冨士本新会長より作業における安全注意事項と今回の活動決行に至った経緯などが伝えられた。

 その後班分けが行われ、草刈り班、手鎌班、間伐班、林内整理班に分かれて作業を行った。私は西田さんと間伐作業を行った。自前のチェーンソーは1年振りにエンジンをかけたがどうやら機嫌が悪く、エンジンはかかるがすぐに止まってしまう。西田さんの勧めに従い、会のチェーンソーをお借りし、軽快に木を切ることが出来た。会のチェーンソーは会員が気持ちよく使えるためにいつもメンテナンスが行き届いていることを実感した。皆それぞれ担当現場で思い思いに作業を行った。目の前にどんどんと間伐された木や枝が積み重ねられていく。上質な薪材となりそうな木材も集まってきた。

 当日は快晴で作業が進むと汗が吹き出すほどであったが、時折吹く風が心地良い。お昼はお互い密にならぬよう、各自距離を保ち、談笑しながらの昼食となった。昼食後も男たちはチェーンソーの整備に余念がない。ウッディーズでは道具をいつも大切に扱うのだ。そうこうしている内に自前のチェーンソーも機嫌を直し復活した。西田さんは私がお借りした会のチェーンソーを隅々まで分解清掃し目立てまでしてくださった。感謝!!

 食事中はタケノコの話題で盛り上がった。午後からは本日のメインイベント? であるタケノコ狩りだ!何を隠そう最近山菜取りに興味を持ち始めた筆者も今日の活動を密かに楽しみにしていたのだ!

 松田さんから太く大きいタケノコが生えていそうな笹薮や探し方のコツ、調理方法などを教わった。その甲斐あってか初心者の筆者にしては上等なタケノコ(笹の子?)
が取れたのでは無いかと思っている。自分で取った旬の味覚を家族でおいしく頂くことが出来た。久しぶりの野外活動で心身ともに実りある格別な一日となった。

(道田 記)

6/13(土)江別市の防風林 林風倒木・掛木処理

参加:15名 天候:晴れ
 本日の現場は江別市の防風林です。林風倒木・掛木処理がメイン。現地に到着するとすでに暑く、熱中症の心配を感じます。
 江別市職員さんからたくさんの飲み物を差し入れして頂き、いざ防風林の中へ。2年前の台風で、巨大な泥ノ木?ポプラ?が倒れて掛木になっています。そりゃ見事に掛木です。ドミノ状態です。
入会して1年足らずですが、こんなでっかい掛木は初めて見ました。

 

 3班に分かれて作業開始です。
先輩たちが、どうやって処理していくのか興味深々です。初心者には全く見当がつかないところに、ベテラン会員は着々とツールを駆使し掛木を外していきます。
 お昼は、日陰でいい風がくる防風林の中でとりました。差し入れでミニトマト・イチゴ・パイナップル・スイカ・キュウイなどなど、初夏のフルーツを堪能させていただきました。

 午後からの作業で、宮田班は特別大きな木を担当して困難を極めていましたが、大木の処理を最後には見事仕留めていました。

倒れた木が折れた木の上に絶妙なバランスで乗っかっていて、まるでヤジロベエのようになっていました。
最後はみんなの力でロープを引っ張り、この木を落とすことができました。

 

 西田班は、すみません、自分の事でいっぱいいっぱいで良く見てません。冨士本班は、初心者二人を連れてロープを引っ張る方向等親切に指導していただきました。いや~勉強です。冨士本氏が掛木の下敷きになったら、早く自然に帰れるよう、玉切りしてあげる約束をしました。

チェーンソー部隊以外は、みんなのためにフキを採ってくれましたよ。きっと今夜の食卓に上るのでしょう。
(南部 記)

7月19日(日)柴原山林 枯損木処理

参加者:11名 天候:晴れ
 暑い。朝からものすごく暑い。まだ作業前だというのに汗が止まらない。そんな天候の中、精鋭11名。内体験参加2名というけっこうな人数で始まる。
 体験の方は、片や公園管理の仕事をされており薪ストーブユーザーでもいらっしゃる下谷地さん。チェーンソーの扱いもプロ並み。なんも言えねぇ(死語)。
片や安全衛生教育を指導する会社で勤務されている高嶋さん。
チェーンソーは初めてだったようだが、午後からは古くから居る会員のように溶け込んでいました。もちろん2人とも入会確定!着々と会員数が増えており嬉しい限りです。
作業のほうは、掛木処理有り。薪材の搬出あり。汗みどろです。

 お昼休みは皆さんぐったり。(一番ぐったりは筆者なのですが…。)

みなさんはソーシャルディスタンスを保ちつつ、快適な距離でお昼ご飯。ん? 一人だけすごい距離のソーシャルディスタンスをとっている方がいます。はい、それは会長冨士本さん。そっかー、そうとうグッタリされていたんですね〜、もうそれは孤独なエリアになっていました、話し声が遠い遠い(笑) (加筆:宮田)

 

 枯損木処理をしたことで、少しづつ込み合った林内に光が入り、風が通り、稚樹に陽光が注ぐともう、まるで自分に事のようにうれしくなるのは私だけでしょうか?
「ありがとう」と言ってくれている気分に勝手になってしまう。うーん、幸せ!

(冨士本 記)

8月8日(土)恵庭市防風林 風倒木処理

参加者:13名 天候:晴れ
 恵庭市の防風林は、今年で3年目。今回は風倒木処理のグループと、枝払いグループに別れて作業を行いました。
枝払いグループは、暗い林の中に入って、枝が全く払われていないぼうぼうの枝を、みんなで懸命に枝切りすると、林の中は明るくなり、木たちが軽くなったのではないかと思える軽やかさになりました。これがこの作業・活動の魅力だと思います。(佐藤 記)

 

 風倒木処理のグループは、傾いた枯損木を含む風倒木を2人1グループで安全に倒していきます。

 

 私は7月19日柴原山林での体験参加を経て、8月8日の恵庭市防風林から、正式に入会させて頂きました。
 間伐作業をテレビでは見たことがありますが、実際に自分の手で木を伐り倒すということは、なかなか経験することのできないものだと思っていました。しかし、ウッディーズさんの活動に参加することで、人生で初めて伐木作業を体験することができました。ありがとうございます。
 伐木作業はとても奥が深く、面白みがあり、とても感動しました。
また、森林に対しての関心を持つ良いきっかけにもなりました。これからは、札幌ウッディーズのメンバーとして間伐ボランティア活動に積極的に参加していきたいと思います。(高嶋 記)

9月18日〜9/21 ウッディーズキャンプ2020

 今年も恒例のウッディーズキャンプを行われました。
場所は「日高沙流川オートキャンプ場」。手入れが行き届いた広い敷地で、子どもが楽しめるアスレチック遊具や、歩いて5分のところに温泉もあり、人気のスポットです。

 コロナの影響で人数制限があるため、冨士本さんには整理券配布のために朝早くから並んでいただき、おかげで良い場所が確保できました。ありがとうございます。今回、参加人数は9名とやや少なめでしたが、天気もよく(途中急な雨もありましたが)和気藹々と終日キャンプを楽しむことができました。無水カレーに薫製・釣りたてのヤマメ・マッシュルームのアヒージョ・おでん・焼き鳥・焼肉などなど、美味しいものを前にお酒が進みます。

 

 最終日は贅沢にも日勝峠を越えて1時間かけて清水町まで足を伸ばし、冨士本さんオススメの「目分量」というお蕎麦の人気店に行きました。連休のせいもあるのかオープンと同時に行列で既に1時間待ち。その後あっという間に「本日は終了しました」の看板がかげられました。もう少し遅くなってたら、食べられませんでした!危なかった〜!(汗) というわけで、最後まで美味しいものを堪能して、大満足のウッディーズキャンプ2020が終了しました。 (宮田 記)

2020年度の 新会員 紹介!

村上 雅文さん
● 入会:2020年4月:森林環境整備に役立てる活動がしたいと思い入会しました。自然の中での活動は気分爽快で、食べる弁当の美味しさは格別です。早く一人前になれるように頑張りたい。

下谷地 雄三さん
● 入会:2020年7月:皆さんと仲良く継続していきたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

高嶋 誠さん
● 入会:2020年7月:間伐ライフを満喫したいです。皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。

津田 秀太郎さん
● 入会:2020年8月:憧れの職業の一つが木こりです。活動を通じて森と木について学ばせていただきたいです。先輩の皆さま、どうぞよろしくお願いいたします。

本間 道孝さん
● 入会:2020年8月:森林の保全の方法を学びながら寄与していきたいです。皆さん、よろしくお願いいたします。

酒井 樹さん
● 入会:2020年8月:伐木の講習会を受けたのでそれを生かせるように活動していきたいです。よろしくお願いいたします。

森の本棚

薪を焚く

薪を焚くラーシュ・ミッティング  朝田千恵 = 訳 水晶社 3300円+税

 薪愛好者に絶対お薦めの一冊である。表紙の「帯」に「伐って、割って、積んで、乾かし、燃やす」、「ただひたむきに木と対話する。そこに浮かび上がる、自然との関わり、 道具への偏愛、スローライフの哲学、手仕事の喜び―(略)伝統的な薪焚きの技術と精神を伝える薪と人との物語」とあるように、薪の百科辞典ともいうべき一冊であるが、どこか深遠な人生論という趣きをも併せ持つ。
 「プロローグ ― 年老いた男と薪」では、冬の終わりには息づかいも怪しげで、足取りも覚束なく「一番の遠出が郵便受けまでだった」隣家の老人が、春に薪を買い、ひと月を薪運びと薪積みに費やすと、見違えるようにピンシャンとなる。著者は、老人が元気になったのは単に体を動かしたからとか、夏の陽気のせいだとは認めず、薪のおかげだ!と確信する。かつては自ら木を伐り薪づくりをしたその老人は「今でこそチェーンソーは片付けてしまったが、薪一本いっぽんの重みに喜びを感じている。詩の世界を感じさせる木の香り、積み上げた薪の生む安心感、薪ストーブの前で過ごすひととき。金の延べ棒を運ぶのに退屈する人がいないように、(老人は)次の冬の備えを大切そうに運んでいた。」老いによろめき始めた我が身と薪との関係を思い、いきなり引き込まれた。
 目次に目をやると、そのカバレッジの広さと詳細さに息を呑む。 「薪の百科辞典」と前述した所以であり、文脈にこだわらずそのページを開きたいという衝動を覚える。以下にその一部をピックアップする。
・寒さ ― 薪割りと癒やし心地よさの理由
・森 ― どこで木を伐るか 伐採時期 焚き付けの薪最高の薪になる木は?
・道具 ― 森での道具 斧のタイプ
・薪割り台 ― 薪割りの技術 薪の運搬
・薪棚 ― 薪積みの決まり 薪を積むコツ 薪の美
・乾燥 ― 〈乾いた薪〉とは 薪の乾燥具合を知る
・炎 ― 着火は上から大気汚染の最小化
 というように、薪に関する実用的知識を満載しながら、ページいっぱいの、あるいは見開きなどの60数点の美しい写真を配して美術書の趣きをも呈する。そして、‘文学作品の香りのする文体だなぁ’と思いつつ読み進めてエピローグ。プロローグに紹介された老人は再びの薪づくりを終えるのだが、その薪を自身が焚くことはなかった。その薪を焚いて暖まっているのは遺された妻。自らの余命を知りつつ結婚して50年になる妻を思っての薪づくり…。
 止(とど)めは巻末付録の「割ったばかりの薪の香」なる一篇の詩。 割ったばかりの薪の香は忘れようとて忘れない、幕の下りるその日まで。(略) その抑えられない妙なる香は女らしく柔らかく白く輝き(略) そしてあなたは、心のなかをそよ吹く南風のように穏やかに知っている、 この世には信じられるものがまだひとつあることを。
 何はさておいてものお薦め本だが、都会のマンション暮らしの人には毒である。

(高川 勝)