森林人通信

Vol.92 2014.12.10

2014年の活動 無事終了
 来期へ向け - オフを充電のときに

 4月にスタートした今年の活動は、11月23日、植苗の森の作業をもって終了した。この間、35回の活動(毎週1回)に延べ398人の会員が参加した。顧(かえり)みると、雪が消え残る早春、暑さに喘いだ盛夏、落ち葉が振りしきる晩秋の、色々なシーンが印象深く甦ってくる。そして、今年もまた大きな事故に遭遇することがなかったことを何よりの喜びとしたい。(2014年の全活動は「年間スケジュール」参照
これからのオフシーズンには、森林を科学的に把握する学習機会が企画されている。森林を深く理解し、適切な施業を展開できるよう、多いに学びたい。

10〜11月の主な活動

高川山林 (10月4日・11 日、11月5日 延べ42名)

外は雨。小屋の薪ストーブに 暖まって
手作りケーキを食べる。

 9月に引き続く、遊歩道作り。10月4日は昼近くになって、激しい雨に見舞われたため、作業を中断して山荘内へ待避する。早めの昼食。デザートは、テレビに連続出演して知る人ぞ知る「かもめ保育園」の調理師・堀内さん手作りのチーズケーキ。このケーキには、高川山林に咲いたエゾヤマザクラの花びらが塩漬けにされて仕込まれている。「美味い、美味い」の絶賛。 
 午後からの作業は取りやめ、意見交換タイムとなる。主に、冬期間に展開する学習・研究活動についても熱心に話し合われた。時には、こういうのも良いなぁ〜。
 10月11日で遊歩道づくりの今年度計画分を終わる。

ネズミさんに食べられないと良いネ

 11月5日、野鼠の食害を防止するための作業を行った。サクラの幼木に野ネズミが忌避するアスファルトフェルトを巻き付ける。翌6日に、「小さい助っ人」・かもめ保育園の園児たちがやって来た。覚束ない手付きでアスファルトフェルトを巻き付け、作業を締めくくった。
 サクラの幼木にアスファルトフェルトを巻き付けることは、元ウッディーズ会員に「父が、これで効果を上げていた」と伝授された方法である。
簡単で、しかも、資材が安価。それでいて抜群の効果をあげるのだが、実践例を全く聞くことがない。今回、「新・山川草木を育てる集い」に関心を示していただいたが、成果や如何に。

植苗の森 (10月26日、11月1・8・23日 延べ36名)

作業は伐り捨て伐採。3日間の作業で360本の木を伐採した。手順の変更により4日目は伐倒木の始末もやることになる。
一連の作業は、来期のイベントに備え植樹スペースを確保するためである。

大物を倒す。

鍋ごと「一気食い」。若いって...。

道民森づくりネットワークの集い (10月18日 11名)

例年、人気のノコ切り体験。
コースターなどの「作品」に仕上げて進呈する。

 会員で書家のStさんの作品を陳列したとろ、この「客寄せ」効果が絶大。会員の懇切な対応も相俟って、我がブースは来訪者の絶える間がなかった。市民や観光客に木や森への親しみを感じてもらえた... かな。

(各活動日の詳細はブログ「活動の記録」参照)

ウッディーズのリーフレット作成

 リーフレットは広報幹事・菊地さんの労作で、A3判・三つ折り、裏表。会の目的や活動の内容などが分かりやすく描かれていて、色々な機会に活用できそうです。
 会員が読んでも、そうだ、ウッディーズはこういうグループだったんだ!と納得したり…。つまり、外向けにも内向きにも役に立つ。

はるか小屋 完成 ! ご協力に深謝 <(_ _)>

 やっと、やっと、出来ました。
 完成を待つように降り出した雪に包まれ、周囲の木々としっくり調和して静かに佇んでいます。
 大工はAsさん(ウッディーズ会員)。30そこそこの若さながら、「鼻栓打ち」、「金輪継ぎ」などの伝統工法を駆使して、見事としか言いようのない小屋に仕上げてくれました。 意気投合した電気工事担当のKjさんがウッディーズに入会してくれるという思わぬ幸せもありました。Kjさんはキノコには格別に通じ、深みを感じさせる方です。
 物心両面にわたるご支援いただいたウッディーズの仲間に心からお礼申し上げ、今後は、家族・友人などご一緒にご利用いただくという形でご愛顧を…とお願い申し上げます。
(近くの「オーンズスキー場」は歩いて行ける距離にありますよ (^_^)v )

ログハウスは終わらない 
~在定 真一氏によるコラム~

第4回【天窓は自然の入り口】

が家には4つの天窓があります。玄関に一つ、キッチンに一つ、ロフトに一つ、そしてリビングに一つ。ログハウスは開口部が少ないので、窓が小さめであり、明るくするためには天窓が必要と考えていたのと、天窓から見える外の景色にあこがれのような気持ちをもっていたので、設計段階でいろいろと試行錯誤の上に、その配置を決めました。

 玄関とキッチンは小さ目の天窓で明り取りの目的で設置しています。期待通り、玄関は日中十分な明るさで、しかも吹き抜けになっているのでとても開放的です。ロフトとリビングは採光だけでなく、外の景色も期待しました。ロフトからは遠くの山々とオーンズスキー場の様子が伺えます。リビングとキッチンの天窓は、下からは空しか見えないのですが、角度によっては、木々の梢が見通せて、家の中に居ながら、外(森の中)にいる気分が少し味わえます。

して、ここでの生活が始まると想定外の景色が楽しめることが分かりました。それは夜も更けてくる10時から11時頃になると、リビングの天窓を通して、十五夜そして今年は十三夜の名月のお月見ができるのです。妻も早速、その辺のすすきを採って来ては、薪ストーブの上に団子と一緒に飾りつけて楽しんでいました。

 天窓のおかげで日中は非常に明るくなります。そして、その明るさも陽が昇ることで始まり、陽が沈むことで終わるという、まさに自然のリズムの中での生活を感じさせるのです。だから、夏は朝早くに目覚めるし、そして、天気が良く、月明かりで明るい夜は寝ていても薄っすら夜明けなのかと思うばかりの明るさを感じます。これは文章で説明するのが難しいのですが、寝室から玄関の天窓を覗くことができる(?)というちょっとしたからくりがあるのためなのです。
(これは実際に見ないと分からない構造です。あしからず。)

た、季節によって太陽の角度が変わることが、我が家のキッチンにも影響します。秋から冬にかけて朝食用に置いてあるパンに天窓からの日光が射すようになるのです。もちろん食料が傷むとまずいので、移動させます。観葉植物の位置も季節によって変わる日射しによって場所を調節します。
 こういう風に書くと手間がかかるようですが、我が家ではこんな些細なことでも、自然の変化やリズムを感じて楽しむことができるのです。 (写真・筆者)

(ありさだ・しんいち 会員)

(コラム「ログハウスは終わらない」のバックナンバーは、「森林人コラム」で読めます)

窓越の秋景 − 一幅の絵画

木の香が溢れるリビング、居ながらにして堪能できる森の景色、そして、美味しいコーヒー。
驚きと羨望の声が止むことなく...。

(在定邸見学会 10月11日)

その華麗な旅立ちまで
 - キアゲハ観察記 -〔その2〕(K・Nob)

キアゲハが羽化した!

 前号では、キアゲハの「履歴」を記しましたが、観察中の菜園のイモムシは8月24・26日両日に蛹化、一頭は黄色のネットに付いて黄土色(ベージュ)で突起部分に黒色を配し、他方は太めのニンジンの茎に付き緑色になりました。保護色として周囲の色に合わせているという説・関係ないという説があり確定していません。私の幼少時代に見かけたのはベージュばかりでした。
 先に、道内では春・夏2回の発生…と記しましたが、8月に蛹化するのは早いように思います。私が子ども時代をすごした道内の寒冷地と違い、暖かい札幌では、ひょっとして夏型がもう一回あってもおかしくありません。


フーッ、やっと抜け出たぞ


これは母さんの手かな?
画像は「しっぽなのうつうつ」 から。

 9月6日、翅が濡れない快晴のこの日を選 び、ショーは早朝から始まりました。6時、ゆっくりと羽化が始まりました。どういうわけか後から蛹化した緑の方です。全体を外へ出した後、尻から蛹時代の薄黄色の体液をピッと放出して「大人の蝶」になりました。縮んだ翅を伸ばすところは目にすることは出来ませんでしたが、翅を広げ、体が温まるのを待つこと2時間…、2〜3度翅をパタつかせてフワッと飛びあがり、パートナー捜しに旅立ちました。思わず「オオッー」と声が…。ヨカッター!ごきげんよう、さようなら。月初頭から24日まで孵化・幼虫そして蛹化に22日間を要し、それから羽化まで更に13日、合計35日を費やしてこの日を迎えたのです。発見してから1ヶ月のドラマでした。

昆虫はしたたか その生存戦略 !

 先に蛹化した蛹が羽化せずそのまま残ってしまい不思議に思っていたのですが、その謎が解けました。9月11日の朝、観察箱を覗いてみたら、件の蛹の上部に1㎜ほどの黒い穴があり、周りには10数匹の全長3〜5mmの小さな虫が蠢(うごめ)いています。ルーペで拡大してみると全身真っ黒で腹部が丸くなったハチ(蜂)の姿が...。なんと、その蛹は寄生蜂に襲われていたのです。
 蜂の種は特定できませんでしたが、チョウが蛹化した8月24日以降に親蜂の産卵よって寄生し孵化・幼虫・蛹・羽化のプロセスをチョウの蛹の体内で終え、中から穴を穿(うが)ち、現れたのでした!

 今回は、本命であるキアゲハの羽化とキアゲハの蛹を踏み台にした別の昆虫の旅立ちをも目の当たりにし、あらためて、自然の、昆虫の油断もすきもないしたたかさに胸を熱くしたのでした。

(K・NOB  会員)

省エネで生活を楽しく

北電広報紙に掲載された
Mtさんの「節電川柳」

 Mtさんは会内では知られた発明家、そして「工夫家」。自力で太陽光発電装置を取り付けることなど朝飯前。その発電装置がフル稼働しています。

「省エネを実現し、電気料も安価に、しかも、快適な生活を楽しむ」がモットーだと言います。

林間独語

▼農林水産統計の作成に関わる仕事をしてきたが、データを公表する際、「見出し」にどの数字を掲げるかに最も気を使い、「昨年比○○%アップ」とか、「本県の△△生産量、ブロックで1位に!」とか、「景気」の良い数字を押し出した。関係者の生産意欲を鼓舞したかったからだが、地元マスコミに注目してもらいたいという思惑もあった。

▼2014年末、総選挙も終盤だが、「我が党」の実績を誇るための都合の良い数字が踊る。例えば、「雇用者を100万人も増やした!」とか。実は、増えたのは非正規雇用の123万人で、正規雇用は逆に22万人減っている。ここには、自らに都合の良い数字を取り出して、厳しい事態をバラ色に描こうとする思惑が見える。有権者は「見出し」が覆い隠す本文も熟読しなければ...。

▼先ごろ亡くなった菅原文太さんは、晩年、有機農業を営み、「日本の森が荒れ始めたらダメだ」、「人間は植物や昆虫と一緒なんだ。人間だけがおごるのは違う」と言っていたという。我々「森林人(もりびと)」の、そんな身近にいてくれたんだ...と思う。その文太さんが沖縄知事選の応援で「政治の役割は二つ。国民を飢えさせないことと、絶対に戦争をしないこと」と訴える録画を見た。14日の投票日、文太さんの訴えに日本の政治は、我々は応えられるだろうか。(T.M)

編集後記

 はるか小屋に関わっていてUPが遅れ、「具合悪いの?」というご心配をいただきました。お詫びと感謝を申し上げます。
 キアゲハの画像は ブログ「しっぽなのうつうつ」 からいただきました。「しっぽな」さんはウッディーズHPにリンクを貼ってくれ、「あるきっかけで、札幌ウッディーズを知りました。森を守り、森を生かす活動をされているようです。頑張って欲しい」とエールをくださっています。ご自身は複数の「自然を守る会」に所属し、「マイナス20℃の雪野原に三脚を立てて」被写体に対峙するという女性カメラマン。その「しっぽなのうつうつ」、文章と写真がとても楽しい。

<< 前の号へ   次の号へ>>