Vol.45 2008.8.1
下草刈りに 風倒木処理に 流れる汗が 気持ちイ~
前月に引き続き毎週の出動+1の、活発な活動になった。「G8記念植樹祭」という気宇壮大な個人企画イベントの支援、千歳市へ長駆して行った北山山林での初の枝打ち、「どろ亀さん記念22世紀の森」での本年2回目の下刈りなど、意気盛んな活動に汗を流した。
■7月の活動経過
【7月6日】 北の沢 12名参加。植栽地の下刈り及びイベントの支援。(別項参照)【7月10日】 北の沢 8名参加。6日の刈り残しを「片付ける」ために設けられた臨時作業日。7時30分集合で、到着次第作業を開始。11時までに予定した以上の下刈りを終える。
【7月12日】 支笏湖「復興の森」・千歳市「北山山林」 21名参加。午前は「復興の森」の下草刈り。エゾイチゴが繁茂する1㌶の植林地、約1時間で作業を終了した。自然まかせの畝には広葉樹の稚樹が沢山。将来、良い森になりそう。 午後からは北山山林での初仕事。仲間の山林とあって一段と気合いも入り、広大な山林の一画で枝打ち作業に取りかかる。 作業前の、宮本さんによる安全講話「オオスズメバチの生態と対策」が興味深く、得るところが多かった。
初めての枝打ち(佐藤くに子さん談)
ふと気がつくと、我を忘れて真剣にノコギリを動かしている自分がいました。額に汗し…、気持ちよかった~。自然には都会の日常では経験できないことが沢山ありますね。
【7月20日】 「新山川草木を育てる集い・どろ亀さん記念22世紀の森」 13名参加。
それぞれ刈払機を携えて広い植林地に散開して行く。作業を始めると汗が滲んできたが、曇天・微風の天気模様、一休みしているうちに引いていく。9時に始まった作業は、「新山川草木…」の万全の準備もあって順調に進み、5㌶を下刈りして2時半に終了。
作業最終盤は、何台もの刈払機が一箇所に集中してきてものすごい轟音。見守っていた「新山川草木…」のメンバーが「投票日前夜のススキノみたいだ」と呆れたように呟く。
両グループは、お互いの「特技」を生かして交流しているが、6月に引き続き、本年2回目の支援作業だった。
【7月27日】 北の沢 15名参加。一年で最も暑い時期、汗を流れるに任せ、西斜面の除伐と風倒木処理に取り組む。
直径50㎝ものハルニレの大木が根こそぎ倒れていて、蔓を纏って小山のようだ。前回に引き続く処理作業を終えてみれば大きな空間ができていた。ここにはまた新しい命が芽吹くだろう。
一息ついて汗を鎮める - ホッとするひととき
(7月27日 北の沢)
この日、下山さんが持参した新しい牽引具が大活躍。従来のものは、2㍍ほどが限度だが、これは10㍍も引っ張れる。早速、蔓に絡まれた懸かり木を難なく引き抜くなど威力を発揮した。下山さん曰く「もう、あまり無理せず、道具を有効利用することにした」
大径木を伐る(石田豊勝さん談)
こんな太いのを伐ったのは初めてで、チョッと感動です。
牽引具で懸かり木を引く
(7月27日 北の沢)
『G8記念植樹祭』を支援
7月6日 藻岩山北の沢登山口近くにお住まいの高野さんが企画した「植樹祭」を河崎・中野両会員がお手伝い。40数名の参加者がそれぞれの思いを込めて30本のクリーンラーチ(グイマツF1)を植樹した。
【カタツムリ】 写真:沓間洋子
悠久を変わることなく生き続ける
透きとおる命
出嫌いだが 雨が降ったりすると
ゆっくり歩み出て
エゾニワトコの実なんか食べてる
それ 美味しいの?
デンデンムシとも呼ばれて、子どもに人気の陸生巻き貝。マイマイ、カギュウとも。同じ陸貝でも、殻のないものはナメクジと嫌われ塩を掛けられる(ホームレスが貶められるように。チョッと違うか)。カタツムリは殻があるお陰で、みんなに親しまれる幸せ者。ワオーの森。
命を引き継ぐ 木や虫たちの知恵
~春日 順雄氏によるコラム~
5【ヘラオオバコ】
道端や原っぱにヘラオオバコが咲いている。和名は「普通のオオバコと違い、葉がへらのような細い形しているオオバコ」の意味である。ヘラオオバコはヨーロッパ原産で、日本には江戸時代末期に渡来したとされ、その後北海道から沖縄まで広く帰化し、ごく普通にみられる。
花は円柱形の穂にびっしりと付き、下から順に咲き上がるが、まず始めに、雌しべが咲き上がっていく。写真では、上部に地味であるがごく短く線状の雌しべの柱頭が見える。下部の飛び出ているのが雄しべの葯で、雌しべに遅れて咲き上がっていくのである。
この様に同一の花からの受粉を避け、他の花からの花粉で受粉し、よい種子、良い子孫を次代に残そうとしているのである。ヘラオオバコは雌しべ先熟の花である。オオバコもヘラオオバコと同じく、雌しべ先熟である。
反対に、雄しべ先熟というものもある。トウモロコシは雄の花穂が花粉を飛ばし始めてから、毛状の雌しべの柱頭が出てくる。
このように雌雄同株(しゆうどうしゅ)の植物には、雄しべ・雌しべのどちらかが先に熟し、近親交配を避ける仕組みを持っているものがある。細かく観察すれば、もっと多くの種類が見いだせると思う。
長い進化の果てに獲得した形質だと思うが、見事としか言いようのない巧みさである。
(コラム「命を引き継ぐ 木や虫たちの知恵」のバックナンバーは、「森林人コラム」で読めます)
山中林思
~東前 寛治氏によるコラム~
6【入会地と御用木】
前回は、中世から近世にかけて山林が「アジール」として扱われ、また、移動する山の民が自由に行き交っていたことを述べた。今回は封建制度の確立に従って、領主権力が強化され、山林を巡る取扱いが変化していくことに触れる。
豊臣秀吉は全国統一に向け「検地」を強力に推進し、耕作農民による年貢負担を確保した。農民は耕作権を認められ、「刀狩」と引き替えに土豪等旧勢力支配から逃れることができた。しかし、林野は検地の対象外であり、無主地として自由利用が普通であった。 元来、領主権力は在地任せであったが、次第に山論(やまろん=村と村との草地や伐採を巡る争い)への介入により、調整と共に収税力を高めて権力を強化する方向に向かい、藩内の支配を徹底する。他方、農民は山林への入会(いりあい)を領主の名において公認させ、生産の基盤を固めることができた。入会とは、林野に立ち入って共同的に毛上(けじょう=林野に生育している樹木・柴・草)の採取を行う慣習上の権利をいう。入会地では薪炭材・牛馬飼料・苅敷(かりしき=緑肥)・草木灰の素になる草を採取し、自給肥料の大半を手に入れた。もともと山林原野への入会権は、生活共同体としての村に属する権利であったから、個人の入会地用益権はその村の構成員であることが基本的条件である。
入会以外の時は「鎌留(かまどめ)」とされ、入会は当日の三十日前から触れが回る。その日には村で動ける者は一人残らず山へ行き、全員で草刈りをする。道具は鎌のみで、ほかの携帯は許されない。刈り取った草は二週間ほどかけて山から運び出す。一反あたりの柴草は、一六~三五駄(だ)、一駄はおよそ三〇貫、一反では四五〇貫~一〇五〇貫にもなり、大変な量だ。
入会には、「村中入会」=村の者のみが利用、「村々入会」=複数の村が利用、「他村持地入会」=他の村の入会地を利用、の違いがある。しかし村の中でも階層分化があり頭(かしら)百姓は入会地を利用できても、脇(わき)百姓は利用できないという例もあるように、入会の利用の差異が歴然と有り、水呑百姓の権利拡大への要求は次第に強くなっていく。
領主は藩用材を確保するため、「御建山(おたてやま)」を設け、樹木の伐採や入林を禁止した。また、「御用木(ごようぼく)」を指定して農民の所持・利用にゆだねられた林野であっても、無断伐採を禁止した。その樹種は、松・樅・栂・欅・桑・桐・エンジュ・栃・楠・柏・樫・杉・檜・栗の一四種に及んだ。検地に際して蜜柑・茶・漆などの木を畑・屋敷の面積から差し引いて別に登録し、「公儀物たるべき儀候」として、なり物(収穫される物)の三分の二を上納させ、三分の一を百姓の手元に残した例もある。更に、享保の改革以降は新田開発に伴い耕地・用水・採草地の確保が一体となって、入会地の拡大・新規参入を巡る訴訟が急増する。その後、入会地が急速に変化するのは明治を迎えてからのことである。
【参考図書】
・古島敏雄『日本農業史』(岩波全書)
・有岡利幸「里山Ⅰ」(法政大学出版局)
(コラム「山中林思」のバックナンバーは、「森林人コラム」で読めます)
読者の便り
★会員の去就等の記事、仲間内の「通信」として、いいですね。ほのぼのとしてきます。(非会員Tさん)★ 会員の寄稿でどんどん充実している感じですが、今回は歌壇が素敵! みなさま、いろんな才能をお持ちなのだとあらためて驚きました。写真家の方の作品も幻想的です。次号にも期待。(Aさん)
★ 文庫本で歴史小説を読む程度の歴史好きですが、間伐ボランティアの機関紙で歴史が学べるとは思いませんでした。(非会員Kさん)
★「森林人通信」、楽しみ半減でした。夕食後、お茶をのみながら読み進み、今月は何の木かなとか、東前さんはどんなお話かなとか、思いながら裏を返すと…、真っ白でした。(Aさん)
余録
★山小屋の脇の畑にヒマワリを少し植えた。花を楽しんだ後、種をビールのつまみに、という目論見である。ある日、ふと見るとヒマワリが下葉を枯らしてうなだれている。慌てて、貯めてある雨水をやる。少し経ってから戻って見ると、アレー、ヒマワリのやつ、もう先端をピンと立てている! 水をやれば、ビールを飲んだときの俺みたいに、とたんに元気になるんだ。水の力、水の大切さを実感する。
★ささやかな水やりからいきなり大きく出るが、世界的な水不足、水汚染が深刻だ。世界人口の5人に1人が安全な水を利用できない。3人に1人がトイレや下水など基本的衛生設備のない環境で暮らしており、未処理下水は河川や湖沼に垂れ流し。その水を飲用や料理用にやむなく使う人は疾病の危険にさらされている。
★と言われてもピンと来ない。なにせ、日本は水道施設完備、蛇口から欲しいときに欲しいだけ水がほとばしり、普及率60%を超える温水洗浄便座がきれいに尻を洗ってくれる水天国だ。
★日本人は世界の水危機に無関心であるが、無関係ではない。食料の大半を輸入に依存する日本は輸入先の水を奪い汚染している。農業生産は大量の灌漑用水を必要とし、農薬や化学肥料は水を汚染するからだ。
★木材の自給率は食料より更に低く僅か20%。大量の木材輸入は世界の森林を破壊し、国内の森林を荒廃させている。水を生成し涵養する森林を痛めつけている日本という国…。個人に出来ることなどないに等しいが、こうしたを事実を忘れては何も始まらない。
★ところで、くだんのヒマワリだが、その後も雨不足で、種は望み薄。なに、順調に生育している枝豆があるさ。