森林人通信

2019年 ≪春号≫ Vol.111  2019.6

4月、5月の活動のあらすじ

  • 4/13(土) 高川山林 薪材搬出及び薪割り  参加人数:14名
  • 4/21(日) 高川山林 薪材搬出及び薪割り  参加人数:25名
  • 5/11(土) 坂本山林 除伐・木材整理・搬出 参加人数:20名
  • 5/26(日) 北山山林 作業道整備(倒木処理) 参加人数:8名

4月13日(土) 高川山林 薪材搬出及び薪割り

2019年4月13日(土) 天気:快晴 参加:14名
今年も活動がスタートしました。いつも通り高川山林の薪割からです。見事な快晴のもと、高川山林からきれいな海とその奥に雪山が輝いていました。
 今日は体験参加のご夫妻が一組です。いつものように危険告知とラジオ体操から始まりました。雪は例年に比べれば少ないです。
参加者も14名と、いつもに比べると7割ぐらいでしょうか。体験で参加されたご夫妻も、結局しっかりと組み込まれてしまいました。
それでも、各自、薪材おろし、玉切り、薪割、薪運び、薪積み、とそれぞれの持ち場に散っていきました。
春一番の作業で、さすがみみんなバテ気味。しっかりと休憩時間の声掛けをしてお休みします。

そんなこんなで、早めの昼食となりました。
今日はMさんが、おいしいお味噌汁、そしてスエーデントーチの準備をしてくれてジンギスカンとなりました。他におしんこやオレンジまで準してくださって、感謝感謝!ジンギスカンもおいしかった。スエーデントーチの火加減もバッチリでした。お味噌汁は前の晩からお出汁を取ってくださったとのこと。優しいお味でした。

ゆっくり休んで、午後からまた作業です。今日は例年に比べると、薪積みも少なめ。午後もまた休憩時間を取って、しっかりと作業をしました。

 (佐藤 記)

5月11日(土) 坂本山林 除伐・木材整理・搬出

2019年5月11日(土) 天気:晴れ 参加:20名

新年度の定例活動3回目は、石狩湾の向こうに増毛連峰を美しく望む坂本山林でした。主な作業場や周辺にも残雪は見られず、新緑の彩りと薫りに包まれた気持ちのいい現場でした。
日差し、気候に恵まれたものの、日陰にいるとやや寒さを感じる気温でしたが、参加者の中には新緑のようなまぶしく元気な子らも多く、にぎやかで温かい空気の中作業がはじまりました。
 9時半、恒例のラジオ体操です。(おそらく)津軽弁、少なくとも北東北の日本海側と思われる赴きある抑揚が相変わらずみんなの表情と身体をほぐしてくれました。今日のリーダーはFさん。多少の伐採作業が予定されていることから、担当者はホイッスル等の事前警告を徹底すること、周囲で作業をする人は警告に注意をしておくこと、大きな薪材おろしもあるので、落下、特に上下作業(斜面の上と下で重なるように作業すること)を避けることなどについて、注意喚起がありました。
 今日の主な作業は、倒木整理・仕分けをしながらの薪材おろし、玉切り、多少の伐採でしたが、現場近くの個人宅の伐採作業もあったため、大きく2つのチームに分かれての作業開始となりました。

 もちろん子どもらも遊んでばかりではおりません。特に午前中は、5~6cmぐらいの細い薪材を中心に一所懸命に運びます(午後は秘密の家づくりに励んでおりました笑)。序盤は細すぎるものを運ぶ場面もあったので、基準となる木を置いて、「これを見本にして、これより太い木を運ぼう」と声がけをすると、しっかり基準以上のものに注力してくれました。ありがたいかぎりでした。

 大人たちはもちろんより太い、大きな木も運ぶので、急な斜面に複数の中継地を設けてできるだけ効率よく(=疲れ過ぎないように)作業できるようそれぞれに工夫していました。玉切り材(という言い方でいいのでしょうか?)は根本に近いものほど太く重くなります。降ろすときは斜面の下側に身体を置き、自分に向かって転がす、転がりすぎないように抑えながら降ろしていくわけですが、個人的には初めての作業だったので、最初は「これはなかなかに大変な…」と思っておりましたが、だんだんと玉切さんの気持ちが分かってくると、玉切さんの勢いを殺すコツ、活かすコツ、流すコツが見えてきて、まるで合気道でもやっているような気持ちで「はまって」しまいました(合気道はやったことありませんが…)。

 そんなわけで、参加者が多かったこともあり、それぞれのチームの作業も順調に進み、きちんと疲れて11時半ごろに幸せな昼食の時間となりました。山主の坂本さんからは、唐揚げ、揚げ餃子などの差し入れをいただき、子どもたちは自分たちで作った!という(沖縄のサータアンダギーのような)丸いドーナツを配ってくれました。癒され、救われ、おなかも満たされました。

 午前と同様、2つに分かれて午後の作業が再開します。作業終盤となると、後回しにしていた重い、大変なものが残っていることが多いのか、なかなかに応える作業となりました。最後は薪材の積み込み、マーキングなどを行い、子どもたちは作業終了間際からSさん指導の下、フキ採りに没頭していた中、午後2時ごろに作業終了となりました。

 最後のヒヤリハットの確認では、転がした薪材が思わぬ方向に進み、別の人にあたってしまったことなどの報告があり、改めて注意事項を厳守することを確認した上で、笑顔で散会となりました。

(伊地知 記)

「異端婆 ・ 銭函再生プロジェクト ・
  ベールを脱ぐ坂本山林」
 (会員 坂本)

 三題噺のようなタイトルになってしまったが、まじめな話である。
 40年ほど前、初めてアメリカに行ったとき、カリフォルニアの17マイルドライブという風光明媚なドライブルートを通ったことがある。青い海、断崖絶壁、海に突き出た岩、ゴルフコース・・・。この景色を求めて世界中から観光客がやってくる。バスの中から歓声があがる。バスを降りて新鮮なフルーツに感動する。そう、実に楽しい思い出である。
 でも、その風景は私には何か懐かしい見慣れた景色にも思えた。ハワイも同じく空港から町中へ移動する車中から見える景色は、遠い昔に見た銭函の海岸線とそう変わりはない。少なくとも私の知る50年前の銭函周辺はこんな景色だった。
 時は流れ、いつの間にか銭函は単なる札幌と小樽の通過点となり、駅前通りも活気がない。ニセコや小樽運河周辺、札幌に観光客がお金を落としているのをただ見ているだけだ。そんなことでいいのだろうか。

だって、ここは銭函だよ。ドル箱だよ。
 ここで、なぜこの名前がついたのかを考えてみよう。セニで狭いところを意味し、ハコは崖を意味する、という説もあるがニシンが大量にとれたから、という説もある。張碓ならともかく、銭函にそんなに崖は見当たらないから後者の説に軍配を上げたい。 「そんなの昔のことさ」、「ここには何もないから」、というかもしれない。
 ちょっとまって、そうだろうか?
 観光客をニシンに例えては失礼ではあるが、今はニセコや小樽運河周辺に向かう観光客がいるではないか。その人たちをただ逃していいのか。
 銭函には素晴らしい海がある。だだっ広い海ではない。石狩湾に囲まれ、晴れた日は増毛連峰が姿を見せてくれる。特に晴れた冬に湾を見ると最高だ。青い海。対岸の雪をかぶった山並み。
 サンフランシスコやダイヤモンドヘッドの風景と比較しても遜色がない。あるとすれば、手入れされず伸び切り、その宝ともいえる景色を遮る樹木である。雑草も背丈ほどある。半世紀以上にも亘り、土地の手入れを怠ってきた私もこの景色を隠し、銭函の魅力を激減させてしまった犯人の一人である。

 ウッディーズに加入した当初の目的は危険木の処理方法を教えていただくことだったが、助けを得て、木を切って切り開いていくうちに、忘れかけていたあの素晴らしい海が見えてきた。高川山林から見た景色も海が見えるように私の土地を切り開くモチベーションにつながった。
 銭函は、実に美しい景色に恵まれた土地である。私がそうだったように、多くの人はその観光資源に気づいていない。

海を遮る木の手入れをする。雑草を刈る。そうすると見えてくる景色が人を呼ぶ。海外からの観光客だけでなく、札幌からも遊びに行きやすい距離だ。10年ほど前まで銭函駅前通りにあった海商というお店には、札幌からも多くの人が買い物に来てお金を落としていったはずだ。だから、この景色で人を呼び、駅前通りや国道沿いはフィッシャーマンズワーフのように小樽の名産を味わって楽しんでもらい、お金を落としてもらう、そんな地域になったらいいな、と願う。
 それは簡単なことではない。でも今では地元民が厄介に思ってきた“雪”こそ大切な観光資源だと言われている。だからこそ、絶好のチャンスで、景観を大切にする見返りは大きいであろう。可能なひとは少しずつ、きれいにする。まずは、そこからでもいい。
 ウッディーズの皆さん、そういうわけで、ごめんなさい。私たち伐採を加速化させます。 だって、通称“坂本山林”は山林ではなかったのだから。海とスキーと海産物がある銭函が好きだから。

 

自分のために 人のために 救急法を学ぶ
 日本赤十字社 救命救急講座で(会員 太田)

 これまで何回か開催へ向けての動きがあったが、やっと実現。開催に尽力した役員の方に感謝する。 時は4月7日、会場は周囲にまだ雪が残っている「はるか小屋」(小樽市春香町)。講習指導員は日本赤十字社北海道支部(小樽)のお二人。
 寺子屋風にテ−ブルをセットし、開講式、オリエンテ−ションを経て、手当ての基本、一次救命処置、心肺蘇生法、AEDの使用法、気道異物の除去へと進む。
 次は座学で学んだことを実践する。9人の参加者が3班に分かれ、それぞれに心肺蘇生用人形とAED(自動体外式除細動器)が配置される。
 横たわる人形を相手に救助開始。

 倒れている人を発見 → 意識の有無の確認 → (意識がない場合)救急車とAEDの手配 → 気道確保 → 呼吸が確認できない場合は心肺蘇生を開始。胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し続ける。けっこう力が必要だし、速く絶え間なく続けなければならないので体力がないと難しいと思う。
 AEDは到着次第、装着。AEDに電源を入れたら、以降は音声メッセ−ジと点滅ランプに従って操作、機器任せでOKだが、最初は手順どうりに行かず、参った。講師の実技を見てわかったつもりでも、すぐ忘れる。
実技全体ついて講評があり、何とかパスしたようだ。
学科検定もあり、私は10問中、3問間違った。ひっかけ問題に引っかかった。 歳のせいにしておこう!!

 本番(?)終了後にも、三角巾の取り扱い方(たたみ方、結び方)、止血方法(直接圧迫、関節圧迫)、傷の手当、傷の危険性、頭・下腿の包帯の巻き方などについて教えられた。
 受講証と認定書を受領して、講習会は終わった。。

森林をよみがえらせ、次代に引き継いでいくために

札幌ウッディーズ 会長:森井浩樹(もりいひろき)

〜 会長という重責を担って2年目に入る森井さん。本業では北海道の半分を担当エリアに抱えて東奔西走の日々ですが、森づくりにも熱い情熱を傾けます。総会での議論を踏まえて、新たな意気込みに燃えています 〜

 山歩きが趣味で、いつも楽しませてくれている自然に何か恩返しができないかと思っていた時にウッディーズと出会い会員になりました。会長に就任してからは、会員の志向に配慮しながら、自然と会員、会員と会員の絆をいっそう深める役割を担いたい、自然と親しむ機会づくりや会員同士の交流の場づくりに献身したいという思いを強くしています。

山に入り、チェーンソーを操り、札幌近郊の森林を生き生きと育てる

 間引かずに放置されているため、木々が混み過ぎ日がうまく当たらず生育が悪くなっている天然林や人工林。風雪で折れた木々がそのままになり、枯れかけている森。そんな不健康な森林を整備して、育て、よみがえらせていくのが私たちの活動です。流れとしては、まず森林の調査を行い、所有者の意向も踏まえて目指す将来像を計画し、継続して整備していきます。具体的な作業としては、植樹、下草刈り、枝打ち、間伐などの森を育てることから、薪割りや遊歩道造り、害獣被害の防止対策などまでを計画に沿って進めていきます。また、チェーンソーなどの機器も使用するので安全を第一に活動を行っており、林業の技術取得や安全教育などにも力を入れています。

森が好き、自然が好きな仲間たちと、観察会やレクリエーションも

 会員数は現在50人強ですが、学生、会社員、主婦や専門家など、職種も年齢層も幅広い方々がメンバーになっています。シーズン中に体験参加というかたちで私たちと山に入って活動を目の当たりにし、「これなら自分も…」と入会を決めるケースが多くあります。最近、多く見られるようになったのは、薪を確保したいという思いが入会の動機というケースです。こうした希望にも可能な対応を模索していきます。
 自然環境や林業などに興味があり、将来の進路にと考えている学生さんには良い学びの場にもなると思います。森の中で実際に自然と触れ合い、大人と一緒に汗を流して、現場での学びや経験を積むことは貴重な時間になるのではないでしょうか。
 最近の札幌ウッディーズは森林整備の作業だけでなく、四季折々の自然観察会、キャンプ、山菜やキノコ採り、雪中ジンギスカンなどのレクリエーション活動にも意図的にウイングを広げています。樹木だけではなく草花や野鳥などに関わる知識を深めたり、会員同士の交流を楽しんだりという機会をできるだけ多く設けようというわけです。同じ思いで集まった仲間たちで、楽しみながら多様な活動を目指します。

森を生涯にわたる学びの場として

 森林の様子は場所ごとに、そして、季節によっても異なり、そこが興味の尽きないところです。また、手入れを続けていくことで、その山の環境が良くなり、変わっていくのを見るのはとてもうれしいことで、やりがいにもなります。自然は本当に奥が深く、まだまだ分からないことだらけで、学ぶことがたくさんあります。
 森は生涯にわたる学びの場だと感じています。森を訪れて、季節の移ろいに彩りを変える樹木を見たり、鳴き交わす小鳥のさえずりに耳を傾けたりしていると、誰もが心地よく癒され、日頃のストレスからあっという間に解放されるはずです。そんな素晴らしい力を持つ森を守り、次代に引き継いでいけるよう、これからも仲間とともに活動の輪を広げていきたいと思います。