東前 寛治氏によるコラム「木を友に」
12 限界集落に挑む活動を
生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は08年12月24日に「2035年の全国市区町村別の推計人口」を発表した(「道新」報道)。それによると05年の国勢調査と比較して、人口が50%以下と予測されている市町村は道内に25ある。そのトップは渡島管内福島町で、現在の39.4%に減少することになる。以下、夕張市、三笠市、歌志内市、積丹町…と減少率が高いのだが、その地域的特徴を見てみよう。まず空知管内の旧産炭地である。もちろん芦別市、赤平市も含まれる。続いて渡島・後志・宗谷の漁村が該当する。積丹町、利尻富士町、利尻町、松前町、木古内町など。最後に交通の不便な内陸の農山村である。滝上町、中頓別町、幌加内町、陸別町、中川町、音威子府村など。いずれも減少率の高い順に挙げているが、絶対数としても音威子府村は人口516人と予測されている。
また1965年の国勢調査の数値と比較すると、70年で人口が当時の10%未満となる自治体は夕張市、歌志内市、幌加内町の3つである。20%未満では更に16自治体が加わる。何とも身の毛のよだつ予測ではないか。しかし65年から既に44年を経過して、この予測が確かなものになりつつあるのも事実と言えよう。限られた都市への一極集中と地方都市及び農山漁村の荒廃というアンバランスは、まさしく我が国のいびつな状況である。
そして人口減の現象の背景に、広大な農耕地の荒廃と人工林の放置を看破しなければならないだろう。決して、人口減だけではないのだ。同時に明治以降の北海道開拓が何であったか、その功罪が問われていると言って良いのではないか。
ウッディーズの活動は、森を見る目を養ってくれる。森を求めて集う目的と効用はさながら三つあるだろう。一つは森林での伐採や植林に無上の喜びを感じて、チェンソーからほとばしるオガクズに興奮する仲間。二つめに自ら山林を所有し、その育種・改善・維持・利用を図るために必要な労力と知識及び経験を協同組合的に助け合う仲間。そして森林の環境保持を通してささやかながらも地球環境の改善に貢献したい…と願う仲間である。
そこで私見を提案。「フォレスト・レスキュー」(F・R)と称して、ドクターヘリならぬ「森林救助隊」の機能を果たすことはできないか。全道からの荒廃林対策に応える事務局機能の確立と派遣体制の整備が必要になるが、難しいだろうなと思う。日常的に微々たる活動をたゆむことなく持続していくことが最も現実的と言えよう。しかし、現今の限界集落や「限界自治体」とも言える状況に少しでも対応したいものだ。地球規模で環境問題が叫ばれている今日だけに、森林活動への参加は「草刈り十字軍」を例に出すまでもなく、正に旬である。そして流行でもあるだけに、廃りがあることを見越して臨んでいく必要があるだろう。
なお、冒頭の「道新」報道では、人口減に対する「実効ある少子化対策が求められる」とあるが、基本的には地域経済対策と押さえなければならないだろう。
・大野 晃『限界集落と地域 再生』(北海道新聞社)
・大江正章『地域の力‐食・ 農・まちづくり』(岩波書店)
・本間義人『地域再生の条件』(岩波書店)