荒巻 義雄氏によるコラム「絶海の孤島問題」
第3回 番外編 異常気候
一夜明けたら晩秋になっていたという感じだが、それにしても今年は暑かった。終戦の日の暑さをはっきりと記憶しているが、その比ではない。
来年はどうだろうか。猛暑と厳冬、短い春と秋という新たな気象パターンが、これからはじまるような気がしてならない。
拠はある。グリーンランド沖で北大西洋海流が冷やされ、海水から氷山ができる過程で、塩分が濃縮されるため、海水の密度が重くなる。これが、あたかも滝のように深海に沈み、南北米大陸東縁を南下、さらに南極大陸ぞいに深海流となってゆっくり移動するうちにさらに冷却される。やがて、これが、印度洋、太平洋で海面へ上昇するのだ。その結果、地球の全大洋に連動する海流の大循環がおこり、撹拌されているらしいのだ。もし、これが止まったらどうなるか。撹拌されない風呂のように表面だけ温度が上がる。
以前は、グリーンランド沖で二〇〇〇米は下降した密度流が今、五〇〇米もないらしい。いや、すでにゼロになっているかもしれないのだ。結果的に、高い海面温度が上昇気流を生み、印度洋ではサイクロンがヒマラヤを越え中国奥地に豪雨をもたらす。日本では、今年、南方洋上に大きな高気圧が発達、北極からの冷気の南下を阻んだ。台風が小型化し、少なかったのもこの気圧配置のせいだ。
すでに地球は、この異常なパターンに入ったように思えるが、前例は沢山あるらしい。
対策はあるだろうか。二酸化炭素排出量を減らす運動も必要だが、森林を増やす対策も有効らしい。たとえば、アマゾンでは炭素貯留だけでも六〇億~一二〇億$の経済価値がある。しかし、アマゾンでは今、大規模伐採が加速的に進んでいるのだ。
アマゾン地区は〈地球の肺〉である。だが、将来、サバンナになるという説もある。アマゾンに降る雨は、ブラジル沖で上昇気流が雨雲となり、貿易風で東の内陸に運ばれ、アンデス山脈にぶつかって雨になる。ところが、最近は、海水温度が異常に高く、陸に着く前に海上でスコールとなり、アマゾン地区には熱風が吹き降ろすという。
など、今回は、イースター島問題が、地球規模で始まっている異常気候の話題になった。いずれ、いや近々、森林保護がますます脚光を浴びる時代になるだろう。同時に身近な問題として、北海道の都市にも集中豪雨被害が起きる可能性がある。対策が必要である。