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よりよい森づくりをめざして

札幌ウッディーズの活動、森林調査〜施業方針の策定 をご紹介します。

目的

 当会が森林整備に関わってきたフィールドのほとんどは、林分内容の把握が行われておらず、目標とする森林の姿も明確になっていないことから、粗放な施業となりかねない懸念がありました。そこで、森林所有者の意向を踏まえたうえで目標林型を設定し、実現のための手段を明らかにする必要がありました。そのためには、まず森林調査を行い、林分の現況を科学的に明らかにし、その結果に基づき施業方針を立てることが必要という結論に至りました。

調査実施まで

 当会は森林調査についての経験がないため、調査の基本について、当会会員の経験者から指導を受けながら平成27年1月から3月までの間に数回勉強会を行いました。また、図面や森林調査簿、空中写真などから机上調査を行い(写真)、概況を森林情報カルテや、層化区分図としてまとめました(表)。

●図面や空中写真の見方、コンパスや輪尺の使い方について学ぶ

●概況を森林情報カルテや、層化区分図としてまとめた表

モデル山林の概要

1.場所:小樽市
2.面積:約4.8ha(天然生林4.6ha 人工林カラ0.2ha)
3.標高:120m~230m
4.傾斜主方向:NE
5.平均傾斜度:25度
6.山林の概要:イタヤ、ミズナラを主体とした二次林で、一部60年生のカラ人工林を含む。(右図)主要植生はクマイザサです。当該山林は、レクリエーションや 環境教育の場として、都市近郊住民の共用スペースとして開放され、「ワオーの森」という名称で親しまれています。約500mの遊歩道が整備済みで地域住民に開放されており、生涯学習の場やマキ採取などコモンズ的な利用がされています。(写真)一部住宅地に隣接しています。

調査の手法

固雪になる3月から、あらかじめ空中写真等で層化したゾーン区分や、標準地位置について検討を行いました。その結果6つのゾーン(母集団)と標準地位置を確定しました(右図)。

なお、調査の手法については有意抽出による標準地法としました。理由は比較的林相が均一であること、調査メンバーの習熟度、労力等を勘案し決定しました。 以降12月まで標準地調査を行いました(0.1ha*4箇所、0.04ha*2個所)。区画測量、立木の測定のほか、自然環境の概況や周辺地域の状況、下層植生についても あわせて調査を行いました。現地調査ではGPSを活用し、ナビゲーションのほか特筆すべき動植物の確認地点などをプロットしGIS地図上に反映しました。

調査結果取りまとめ~施業方針の策定

調査結果については樹種、径級階別に集計をし、林分内容をグラフなどに整理し、そうした資料を元に森林所有者と当会会員で施業方針の検討を行いました。
林分内容の概要については、22cm以下の小径木が大半を占めており生育途上のまだ若い林と言えそうです(グラフ1)。資源量についてはha当たり本数で約1000本、ha蓄積は約200㎥となりました。内訳は広葉樹の平均直径18cm、平均樹高12m、平均単材積0.15㎥、カラマツの平均直径は30cm、平均樹高20m、平均単材積0.66㎥となりました(グラフ2)。また本調査では、標準地内の全木について価値区分を判定しました。価値区分とは、主に健全度に基づき優良・普通・不良の3段階に区分するもので、当会オリジナルの基準です。その結果ゾーン1と5については、今後成長の見込めない不良木の占める本数割合が多いことがわかりました(グラフ3) 。

グラフ1

グラフ2

グラフ3

以下はゾーン毎の現況を調査表にまとめたものです(表2)。主要樹種から林分タイプを決定し立地条件の特徴や施業対象林分の条件にあてはまるかなどについて整理したものです。施業対象林分の基準については北海道立林業試験場監修の広葉樹林育成マニュアルを参考としています。

(表2)


ミーティングの様子

このようにして、調査を行う前は表面的にしかとらえることができなかった林分毎の姿が徐々に明らかになってきました。次に施業方針の策定にあたってブレインストーミング型のミーティングを行いました(写真)

調査結果を元に森林所有者と当会会員で施業方針の検討を行います。ミーティングでは主にゾーン毎の特徴をそれぞれが出し合い森林整備上の課題や、制約事項、実現性など多種多様の観点から議論が活発に行われました(図3)
ミーティングの結果については、再度現地にフィードバックし皆で検討を行いました。

具体的には資源利用など3つのキーワードに対し、ゾーン毎に重要度や難易度等について、レーダーチャート式で判定を行いました(図4)
さらにレーダーチャートをマトリクス図に展開し検討を行いました(図5)

(図3)

(図4)

(図5)

その結果、ゾーン毎の管理レベルが整理され(図6)必要とされた施業毎に工程表の作成が行われました(表3)
このような過程を経て、当会で初めての施業方針がまとまりました(図7)意見の対立もあったものの、なんとか形にすることができました。

(図6)

(表3)

(表7)

まとめ

一連の取り組みにより森林調査の進め方を理解することができました。また、森林のより詳細な内容が明らかになりました。そしてデータを元に、より具体的な方向性を議論することが可能になりました。専門的な知識を持たない一般市民からなるボランティアでも、森林調査から施業方針策定までのプロセスを自らの力で行うことが可能だということを立証することができました。

最後に

 今後、調査結果の数値をもとに密度管理など、より具体的な施業方法の検討を進めていきます。また他のフィールドについても調査を進めているので、今後もモチベーションを持続し、専門家のアドバイスも受けながら取り組みを継続していきたいと思います。