白旗なあなあ日常

(文・笛木 森之助)

Vol.8

いつ降るのかと思っていた初雪。10月下旬の湿って重たい雪は、強風と相俟って白旗山にも大きな被害をもたらした。枝折れ、根返りした木々が散乱し、林道入口にさえ辿り着けない。風の通り道だったのか、幹の折れた木々が墓地の卒塔婆に見えて痛々しい場所も多い。落葉松間伐作業中だった我々作業班は、必要最小限の林道等を空けて間伐作業に戻ったが、別班は雪害木処理を続け、漸く11月下旬に一区切り。
 そんなこんなの白旗山では、8月からの「立入禁止措置」が、当の本人からの沙汰無しで12月から解除に。それにしても「なんで羆の糞は臭いがしないのか」と思っていたら、「熊のことは、熊に訊け」。
(註)岩井基樹『熊のことは、熊に訊け』(つり人社)
 この本で己の無知さを再確認。ヒトが現代のクマを変え害獣にして殺しているようだ。悪いのはいつもヒト。反省。
先日、ボラ仲間と「安全な伐木作業」を 考える機会があった。伐木経験が浅い方々とだったので、こちらの一方的な話 になり、実作業でも言葉が足りず、理解して頂けたかどうか…伝えることの難 しさも感じたが、自分の「杣夫力」不足も。安全作業を語るには程遠い。ここ でも反省。

いやぁ、ブッ魂消た。この原稿を書きながら見たテレビ番組のクイズコーナーでのこと。人気お天気キャスターの月収は百万円とか。予報の当たり外れに一切責任がない、的中確率も問題にされないアノお仕事の報酬が…。一方、各種保険でも危険度はお墨付「杣夫」の年収は、その二ヶ月分とチョット。
 白旗山での間伐作業に続き、北広島市の西端にあるゴルフ場傍の椴松林に通い始めた。堆積された落葉で林床はフカフカだが、陽は届かず、随分前に除伐された丈高い伐根や幹、枝も土に還りきってはいない。その15町歩程の椴松林を切り捨て間伐している。樹高、樹径は様々だが、追口を切っただけでは倒れないのが共通点。一本当たりの作業時間が多くなり、森林の広さを合わせて推測すると年内に作業が終わるのかどうか…気が滅入る。

夜半から明け方までの雨が上がり、重たい心を引き摺って現場に辿り着き、作業を開始。いつの間にか気温も上がってきたようで、林床から蒸発した水分が霧となり、林内に立ち込めている。伐倒した木が周囲の木々に触れる度に枯葉がシャワーのように降ってくる。その一枚一枚が、空いた隙間から射し込む光の筋に黄金色に煌めく。降り掛からぬように顔を背けると、作業を終えた辺りには、天使の梯子のように、幾筋も陽射しが白く浮かび上がっていた。その一つが濡れた幹に当たり、立ち上る水蒸気が揺らめいている。こんな光景に巡り会うと、特別なご褒美を頂いたようで、山仕事冥利に尽きるというもの。でも、お金の方が…。(つづく)

 

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