白旗なあなあ日常

(文・笛木 森之助)

Vol.7

「羆の糞は臭いがしないらしいよ」と差し出された黒いカタマリは確かに無臭だった。7月21日林道上でソレが発見されて以来、続々と方々で糞、足跡、掘り起こし跡が発見され、遂に8月7日から山は閉鎖された。糞等の発見は後を絶たず立入禁止措置は継続中で、いま白旗山都市環境林は、ひっそりと静まり返っている
 8月7日21時過ぎに自動撮影された彼は細身で脚も長く見え、「若い雄1頭とみられる」という報道とも一致する。とはいえ、ピースサイン姿の羆がハッキリ写っている訳ではなく、真っ黒な画面の片隅に、小さくボワーッと輪郭があり、白い点は眼かな?という程度

数十年白旗山で仕事されている方も「初めてだ」。これは森林の手入れを続けてきた結果、生物多様性に富んできた現れだと喜ぶべきことなのか。確かに、数日前にはエゾクロテンが獲物を追いかけて林道に飛び出してきたり、ホンドイタチ?が林道脇の薮に姿を消すのを目撃したが…
 そうは言っても、羆の糞等を目の当たりにするとゾッとする。できれば、挨拶したくもない。物音がある間は近寄らないだろうが、歩いて林道を移動中に曲がり角でバッタリとか、休憩中や機械に燃料を補給する間に背後にきているのではと思うと落ち着かない。なので、命根性が汚いボクは、熊撃退スプレーを携帯することにした。1万3千円もしたが、4年の有効期間で割れば1年当たり3千円余りの「保険」と思えなくも…

今のところ、川沿いの限られた区域を中心に生活しているらしいが、畑作物の美味しい味を覚えれば、やがてはイザコザを起こして不幸な結果を招きかねない。そうなる前に…例えば、糞等でDNAを調べて個体数を特定するとか、罠で捕獲し、発信器を取付けて行動を監視するとか、何か積極的にイザコザを防ぐ手立てはないものだろうか。出没の痕跡が発見されたから、その区域を立入禁止にするというのでは如何にも○○がない。また、いつ、何を根拠に立入禁止を解除できるのか。ハンターの警護付きで巡視する人が、その痕跡を確認できなくなれば解除されるのか。だとしても、冬眠前に脂肪蓄積するため「白旗山ビュッフェ」に戻ってくる可能性はないのか
 こんな状況は正常なのか異常なのか。大都会の縁で起こるから不自然な自然になってしまうのか…不幸にしてバッタリと出会い、襲われて喰われたとしても「自然」に還るだけのこと。喜んで喰われてやるさ。と、それなりの覚悟と緊張感を持って山に入るものの、きっとその場になれば、大きな悲鳴を上げて逃げ回るだろうなあ。 (つづく)

 

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