木を友に

(文:中野 常明)

4 アカシア

アカシア

更説明するまでもなくおなじみの木であるが、北米原産の落葉高木で、高さ20m、直径1m近くにもなる。葉は奇数羽状複葉で長さ20p、互生する。マメ科なので豆果ができる。繁殖力が旺盛で、どんな土地で良く育つので、パイオニアツリーとして米国の西部開拓時代に良く植えられた。公園・街路樹、砂防用、器具材として利用される。昔はスキー材として使われたこともある。

 札幌では、6月中旬に花が咲く。房状で、長さ10〜20pの白い蝶形の花をつける。花からは、高級な蜂蜜が採れ甘い香りが辺り一帯に流れる。花の天ぷらは、おいしいと聞くがまだ味わったことはない。花言葉は「友情」である。北原白秋は、大正14年7月に札幌を訪れ北1条通りのアカシア並木の花を見て「この道」にある「…ああ、さうだよ、あかしやの花が咲いている」という詩を作ったと言われる。(『北方植物園』朝日新聞社編)

海道には、明治4年札幌農学校の試験場で育てられた木が円山の札幌神社の境内に植えられた記録がある(『日本の樹木』辻井達一中公新書)。一方、明治14年には、東京青山開拓使試験所から苗が移され、同18年に停車場通りに街路樹として植えられた。但し、後年、成長の旺盛な木が商店の軒先まで枝を伸ばして、店先を暗くするというので、枝を払われたり倒されたりして、急激に数が減ってしまった。現在(99年当時)の駅前通は中央分離帯にハルニレが植えられている。これも交通の邪魔になるとか地下街建設工事のため支障が出るなどの理由で撤去の噂が出ている。(07年現在では、地下街建設工事のためハルニレも撤去された)札幌の街路樹としては、ナナカマドに次いで2番目に多い樹種で、約2万7千本植えられている。(94年4月1日現在、札幌市環境局調べ)

 我々は普通アカシヤと呼んでいるが、正式に学名で言えばニセアカシア、別名ではハリエンジュである。しかしニセアカシアではどうも聞こえが良くない。本物のアカシアもあるが、葉はニセアカシアに似ており、同じマメ科に属するが、熱帯原産の木で寒いところでは育たない。本物はアカシア属アカシアであるが、ニセの方はロビニヤ属ニセアカシアである。昔からニセを嫌っていろいろな呼び名案が出たものの決着は付かなかった。北大植物園の初代園長宮部金吾博士は、属名のロビニヤを使っていた。この素晴らしい呼び名をぜひ普及させたいものだ。

治の始めに漢字で「明石屋」と書いた人もいたというが「明石家さんま」や木賃宿の屋号などを連想してよろしくない。
我が家の西側は、空き地になっており窓近くに、野生のアカシアが4本も生えていた。夏の西日除けに役立ちそのままにしておいた。しかし、あまりにも繁茂しすぎたので、2本を切り倒した。その後残った2本の成長は著しくたちまち2階建てのわが家を超える丈となり、花と葉を大量にまき散らすようになった。無落雪の屋根は平らで排水溝があり、これがすっかり埋まってしまうのには参った。やむなく春先に、木に登って先を詰めてしまった。先日アカシアから見えない屋外の水道蛇口下をほじっていたら、アカシアの太い根が伸びてきているのを発見しそのたくましさに驚かされた。

 

 

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