木を友に

(文:中野 常明)

14 ライラック

ライラック

ーロッパ東南部原産で、高さ3〜5mの低木。ライラックは英語名、フランス名はリラ、和名はムラサキハシドイというが、名の通り紫色の花が多い。しかし、白い花もありこれを白ライラックと呼んでいる。別にハシドイ(ドスナラ)という同じモクセイ科の高木もあり、白い花が咲きライラックと同じ良い香りがする。これも街路樹として植えられているので、少々話がややこしくなる。

 この木は札幌の「市の木」に指定され毎年5月下旬には「ライラック祭り」が開かれる。「市の木」に指定されるだけあって、市内の至る所で見ることができる。わが家の周りにも数本のライラックがある。根元から沢山のひこばえが出るので、これを利用して簡単に苗木を作る事ができる。
 ライラックは明治の中頃に北海道に渡来した外来種である。札幌では植物園の事務所前にある木が最も古く、宮部金吾博士が植えたと言われている。博士は、北星学園の創立者である米人宣教師のクララ・スミス女史から入手したのではないかと見られている。女史は、明治23年にニューヨークに里帰りしたときに、ライラックの苗木を持ち帰り学園内に植えた。当時博士は、北星学園の植物学講師をしており、その縁でライラックの苗が手に入ったらしい。因みに、北星学園の校花は、ライラックである。

りの良いライラックの花は、香水の原料になる。香りの成分を最初に発見したのは、若山誠治という札幌教育大学の教授である。香りの成分を抽出するのが難しく幾度も失敗を繰り返した。しかし、偶然に低温抽出で成分をキャッチでき、それが「エレミシン」という化学物質であることが確認された。最近、富良野のラベンダーが有名になり、香水も沢山売られているが、ライラック香水が札幌で作られているという話は聞かない。
 何年か前の地元新聞に、写真入りで「ライラック200種競演」という記事が載っていた。豊平区月寒の住宅街の一角に、約6千の空き地を利用したライラック畑があるとのこと。米、仏、中、豪、韓など世界各国の固有種を、200種以上集めて楽しんでいる。植物園にもライラック園があるが、これほど種類は多くない。因みにライラックは、6月25日の記念樹。

 

【参考図書】
・辻井達一「日本の樹木」(中公新書 )
・佐藤孝夫「新版北海道樹木図鑑」(亜璃西社 )

 

 

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