命を引き継ぐ 木や虫たちの智恵

(文・写真:春日順雄)

12 ニセアカシア

ニセアカシア 6月中旬、札幌中に純白で甘い香りのニセアカシアの花が満ちあふれていました。
 美しい花は観賞用に、養蜂業に大きく貢献してきました。繁殖力も旺盛で明治以降、治山緑化の現場で積極的に導入されてきました。
 ところが、外来種問題の視点から考えると、すさまじい繁殖力ゆえにニセアカシアは問題のある木なのです。外来生物法の「要注意外来生物」にリストアップされています。

 ニセアカシアを特徴付ける性質を列挙してみます。
 伐根からの萌芽能力。高川山林の倒れたニセアカシアの根から、すさまじい数の萌芽を目にしています。
 根萌芽能力。親の木から数メートル離れたところから芽を出し生育範囲を広げます。これも高川山林で目撃。
 種子散布による分布拡大。埋土種子になると40年も休眠出来るといわれます。地表の攪乱によって一気に発芽という可能性もあります。
 窒素固定能力。根粒菌と根が共生するので荒地でも生育します。
 大量開花。鈴なりに一杯の花が咲き、ハチが沢山寄ってきます。その結果、同時期に咲く農作物に影響があるといわれています。
 他感作用(アレロパシー)(注)を出します。そのため、ニセアカシアの林床の下層植生は貧弱だそうです。(注ある植物が葉や根などから放出する物質(アレロケミカル)で他の植物の生長を抑制・阻害する現象のこと)

 本州ではニセアカシアの大量発芽・生育に頭を悩ませ、駆除したという例があります。
 ニセアカシアは命をつなぐ方略をしっかりと持っています。
 しかし、在来の生態系に悪影響を及ぼすマイナス面と有用性というプラス面があり、身近でありながら、目の離せない樹木です。

参考:『光珠内季報』142(2006・3)

 

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